【独自】対北朝鮮で試される日米韓の本気度 元北朝鮮外交官・太永浩氏

2023/12/15
更新: 2023/12/15

北朝鮮の元駐英国公使で、現在は韓国の保守系与党「国民の力」に所属する太永浩(テ・ヨンホ)国会議員が大紀元エポックタイムズの単独インタビューに応じた。軍事面での中朝露の協力関係が強まるなか、地域情勢のエスカレーションを防ぐには日米韓の硬い決意が必要だと語った。

――中朝露3カ国の連携はますます強まっている。東アジア情勢がエスカレートする可能性はあるのか。

米国、日本、韓国がどのように協力して対応するかにかかっていると思う。たとえば、北朝鮮はこのほど、ロシアとの軍事協力を強化している。武器を売ったり、技術を輸送したりしている。その一方で、韓国、日本、そして米国の間には、行動を共にする非常に強い約束がある。

韓国、米国、そして日本がこのようなプロセスを続ければ、熱い戦争は起こらないと思う。しかし「冷戦」はさらに激化するだろう。

日本の国会で講演する韓国の太永浩国会議員(Wenliang Wang/大紀元)

――11月21日夜、北朝鮮は衛星と称するものを打ち上げた。ロケットには弾道ミサイル技術が使われているとのことだが、外国との技術協力を深化させた結果なのか。

その通りだと思う。今回、北朝鮮は衛星を軌道に乗せることに成功した。これは、北朝鮮の弾道ミサイル技術がさらに向上したことの証だ。これに疑いの余地はない。

そのため、北朝鮮とロシアに対しても、より強力な経済制裁が必要だ。12月11日には、ロシアはシベリアでより多くの北朝鮮労働者を迎え入れ、労働力として確保するために閣僚まで派遣した。双方のこのような経済・軍事協力は近い将来も続くだろう。だからこそ、北朝鮮とロシアの協力関係に対して、私たちは反対の声を挙げなければならない。

――北朝鮮の人々が食料と電気の欠乏に苦しんでいる一方で、なぜ北朝鮮はロケット技術の開発に注力し続けることができるのか。

最近、多くの技術がロシアから北朝鮮に渡ったと思う。実際に、プーチン大統領は金正恩にロシアが持つ最先端の衛星施設と衛星発射場をすべて見せたのだ。この事実をもとに、ロシアは衛星と大陸間弾道ミサイルの能力を向上させるための多くの技術的アドバイスを北朝鮮に与えたのだと私は確信している。

――拉致問題の解決について話し合った際、日本の朝鮮総連に関する言及もあった。北朝鮮と深い関係を持つこの団体について、日本政府は何をすべきか。

日本政府は、親北活動家(北朝鮮の政治体制や指導者を支持する者)や団体に対し、北朝鮮の現体制を支持することは間違っていることであり、北朝鮮の指導者や体制を支持するのは反人道的行為に相当すると言い続けるべきだ。

――尹錫悦大統領は就任後、国内の左派勢力と戦い、北朝鮮の影響力を排除する政策を推進していると聞く。実態は如何か。

尹錫悦大統領は、北朝鮮の核とミサイルの脅威に非常にうまく対処していると思う。尹氏は現在、米国との軍事同盟を強化し、日本との関係も改善している。

韓国国内では、尹氏は親北活動家や数多くのスパイに打撃を与えようとしている。私は尹錫悦大統領の対北朝鮮政策と、日本とアメリカに対する外交政策を強く支持する。

太永浩 

テ・ヨンホ。北朝鮮の元外交官で、現在は韓国の保守系与党「国民の力」で国会議員を務める。2016年、イギリス大使館に公使として赴任していた際に韓国に亡命した。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
政治・安全保障担当記者。金融機関勤務を経て、エポックタイムズに入社。社会問題や国際報道も取り扱う。閣僚経験者や国会議員、学者、軍人、インフルエンサー、民主活動家などに対する取材経験を持つ。