台湾の民間防衛推進組織で、長年認知戦の問題に注目してきた黒熊学院は12月17日、「偽情報と戦い、台湾で団結する」と題したセミナーを開催した。
台北大学犯罪学研究所の准教授で、黒熊学院の院長である沈伯洋氏は、中共(中国共産党)は台湾に対する統一戦線において様々な戦術を用いており、 その一つが真偽混ざりあう情報を流布して若者を狙う認知戦だと指摘した。
台湾の黒熊学院は17日、台中市で初の大規模な野外セミナーを開催し、中共が台湾に対して統一戦線工作を展開する手法を公開した。
沈伯洋氏はまず、中共が台湾の選挙結果に介入しようとするならば、影響力を行使しなければならない人数は外界が想像するよりもはるかに少ないと明かした。同氏は2020年の立法院(国会)選挙を例にして、民進党と国民党の議席差は23議席だったが、総得票数の差はわずか6%しかなかった。
「わずか6%の差なら、選挙結果に影響を与えるには、わずか3%の有権者の投票行動を変えることができれば、選挙結果は変わる。3%は約4、50万人だけだ」
沈伯洋氏によると、中共は台湾人に対して「養ってから絡め取り、最終的には操る」という手口を取っているという。
例えば、地元の郷長に補助金を出し(養う)、共同で中共側との交流活動を行う(絡め取る)。時間が経過するにつれ、親中的な言論を展開するよう、これらの人々に圧力をかけ始める(操る)。
「団体交流にせよ、学術交流にせよ、どの人が中国に行って何を聞いたかはまったく問題ではなく、その目的は、台湾人を操ることだ」
沈氏はインターネットを頻繁に利用する若年層を対象に、中共は認知戦を展開しており、各SNS上で偽情報を大量に拡散し、人々の認知に影響を与えようとしていると述べた。その流される情報も時には正確な情報も発信するが、その背後には下心があるという。
「その主な目的は、人々が政治に嫌悪感を抱き、投票行動に消極的になることを促す。中共は中国がいかに素晴らしい国であるかは言わず、ただ政治は汚いものだ、どの政党もふざけていると言い続ける」
沈氏は、台湾は守りやすく攻めにくいとし、中共が上陸するのは容易ではないと強調した。だからこそ、中共は台湾に対して大規模な統一戦線工作を仕掛け、できるだけ多くの台湾人をだまそうとしているのだ、と語った。
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