日本人社員を中国で「スパイ容疑」として逮捕されたアステラス製薬は、12月28日の同社プレスリリースで、中国医薬品企業と共同研究などの契約を結んだと発表した。
アステラスは12月28日、次世代のがん治療薬の共同研究などで中国バイオ医薬品企業のエルピサイエンス・バイオファーマ(Elpiscience Biopharma)社と共同研究およびライセンス契約を締結した。契約一時金とライセンスのオプション料を含む最大3700万米ドル(約52億円)をエルピサイエンスに支払う可能性がある。研究は予後不良や免疫チェックポイント阻害剤への抵抗性と関連する白血球を調整し、腫瘍微小環境を再構築し、既存のがん免疫療法に応答しないがん患者に新たな選択肢を提供すると期待されているという。
アステラスは売上で国内3位の大手製薬会社。スペシャリティケア領域(整形・腎・泌尿器・糖尿病・循環器・消化器)、固形がん、血液がん、関節リウマチなどの医療用医薬品の研究開発・製造・販売に携わっている。現在は全世界で16の研究開発拠点と8つの生産拠点を置き、約70か国と地域でビジネスをグローバルに展開している。主要製品には、がん治療剤、泌尿器関連の治療剤と免疫抑制剤などがある。
今年3月25日に、アステラスの中国駐在員で50代の日本人男性従業員が「反スパイ法」違反の容疑で中国共産党(中共)当局によって拘束され、10月に正式に逮捕された。11月28日、当時、任期終了直前であった駐中国大使の垂秀夫氏は、拘束されている日本人男性と面会した。健康状態に特段問題はなかったという。
拘束されている社員の現在の心理状態と健康状態について、最新の情報は得られていない。
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