「共産主義者との関係断絶」 アルゼンチンがBRICS加盟を公式に拒否

2024/01/04
更新: 2024/01/05

アルゼンチンハビエル・ミレイ大統領が「BRICS(ブリックス)」に加盟しない意向を公式に表明した。

BRICSはブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ共和国など新興5か国の集まりで、この協力関係を主導しているのは中国に他ならない。

ミレイ大統領は22日、BRICS加盟国首脳に文書を送り、「アルゼンチンがBRICSに加盟することは現時点では適切ではないと判断される」と伝えた。

また、「現政権の外交政策の基調は前政権と様々な面で異なる」とし、「前政権が下したいくつかの決定が再検討されるだろうし、これにはBRICS加入も含まれる」と付け加えた。

ミレイ政府のBRICS未加入はある程度予想されていた。

大統領選挙に立候補した当時、彼は中国・ロシアなどに強い拒否感を示し、「私たちは共産主義者と同盟を結ばない」と表明した。

昨年8月、BRICSは中共(中国共産党)が国際舞台で欧米の覇権を牽制する目的で、アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビアなどを新規加盟国として承認した。これは2024年1月1日から発効する予定だった。

ところが、ミレイ大統領がBRICS正式加盟をわずか10日前に控え、各加盟国の首脳に文書を送り、正式な拒否の意思を明らかにしたのだ。

アルベルト・フェルナンデス前アルゼンチン大統領は「BRICS加入は、インフレ危機を経験しているアルゼンチン経済に新しいシナリオを提示し、これは経済難を克服するための『大きなチャンス』になる」と述べ、BRICS加入を積極的に推進した。

また、「我々は既存の市場を統合すると同時に、新しい市場に参加し、投資を誘致し、雇用を創出する可能性を開いている」と述べた。

ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領は、「国際通貨基金(IMF)の借款の圧力を克服するためには、アルゼンチンはBRICSに加入しなければならない」と主張した。現在、アルゼンチンはIMFに約430億ドル(約6兆1305億円)規模の借金を抱えている。

ミレイ大統領は当選直後、クリスタリナ・ゲオルギエバIMF総裁とビデオ会議を通じて関連問題を議論した。ゲオルギエバ総裁は「アルゼンチンに必要な構造的解決策に資金を支援するために協力する」という意思を伝えたという。

経済改革の推進

ミレイ大統領は就任後、アルゼンチン経済を復活させるための一連の改革を推進した。

アルゼンチン大統領府のマヌエル・アドルニ報道官は12月26日の記者会見で、「政府は2023年12月31日に契約が終了する公共部門の契約職公務員について、これ以上契約を延長しないことにした」と発表した。未契約者の規模は約5千人だ。

さらに、労働法の廃止、年金の自動引き上げ廃止、自国内の石油市場の自由化、エネルギー産業への政府介入の縮小などの改革案を実施すると述べた。

これはすべてアルゼンチンの極度の経済難打開のための努力の一環として評価される。

しかし、ミレイ大統領の改革政策は激しい反発にぶつかった。 最近、アルゼンチンのブエノスアイレスでは、数千人の市民が急進的な経済改革政策に反対するデモを行っている。

いっぽう、ミレイ大統領の最大の選挙公約である中央銀行廃止と米ドルへの移行は、いつ実施されるか不明だ。

気候変動問題

ミレイ大統領が気候変動に関する既存の立場を覆す動きを見せたことで、彼の支持者たちは批判の声を上げている。

アルゼンチンの気候外交官、マルシア・レバギ氏は、第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)で「すべての環境条約を遵守する」と述べた。

過去、ミレイ大統領は気候変動を「社会主義的な嘘」と呼び、気候科学者や活動家を強く批判したことがある。

また、「気候変動を人類のせいだとする主張はすべて偽物であり、社会主義者がお金を集めようとする試みでしかない」と述べた。

さらに、過去50年間、気候変動に対する生態学者の予測が何度も外れたことを強調した。

アンドリュー・モランは10年以上にわたり、ビジネス、経済、金融について執筆。「The War on Cash.」の著者。
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