もし「親共陣営」が当選したら、台湾は中共に「統一」されるのか?=分析

2024/01/12
更新: 2024/01/12

中華民国(台湾総統選挙は、今年1月13日に投開票される。投票日まで残り1日と迫るなか、候補者3人とも最後の追い込みに向けた激しい選挙戦を進めている。

「もし親共陣営の候補者が当選したら、台湾はすぐに、中共によって統一されるのか」

多くの人がもつであろうこの懸念について、台湾情勢に明るい時事評論家の唐浩氏は、以下のように分析する。なお、台湾の総統選挙は「総統候補と副総統候補のペア」で選挙が行われる。

そもそも、今回の台湾総統選挙における「親共陣営」とは、具体的にどこを指すか。

中国(中共)政府で、台湾政策を担当する国務院・台湾事務弁公室の陳斌華報道官は昨年11月29日、台湾の与党・民進党の頼清徳候補のペアを「戦争製造者」と呼び、中台衝突のリスクについて警告した。陳氏は「頼清徳候補のペアが当選すれば、台湾独立がさらに推進される」という。

いっぽう台湾の最大野党・国民党の侯友宜候補について、陳斌華報道官は「(大陸との)協力」に意欲を示した。中国共産党は明らかに、台湾の有権者が「侯友宜」に投票することを期待している。

柯文哲氏(民衆党)は「中台関係の議論には加わらない」と主張しながらも、現状維持を繰り返し表明している。そうした柯文哲氏の路線は、中国を挑発するか、中国に従うかの間にある台湾の有権者に対し、自らを「第3の選択肢」だと位置づけている。

唐浩氏は「理屈の上では、どの陣営が当選しても、台湾政府の両岸政策がすぐに大きく変わることはない」と分析している。

「何しろ、いまは『反共』や『中国の封じ込め』という国際環境がある。反共の欧米や日本などの国々は目下、台湾の主な経済・貿易協力の対象である。それに対して、中国経済は今とても悪い。もし台湾が、直ちに中国を抱擁して、他の各国とデカップリングすることは、台湾にとって自滅に等しい」

「また、台湾では84%以上の国民が『一国二制度』に反対し、現状維持を望んでいる。したがって、たとえ親共の候補者が当選したとしても、すぐに公に(中共へ)投降する可能性は低い。結局のところ、誰が当選しようと、真っ先にやることは政権の安定だ」

したがって「もし親共陣営の候補者が当選したら」という仮定、つまり現段階では「中共が望まない」頼成徳氏が優勢と伝えられるなかで、あえて「国民党の侯友宜氏が当選したら」という可能性の低い結果を仮定した設問に答えるならば、たとえそのような結果であっても、台湾はすぐには中共中国に統一されることはないだろう。

唐浩氏も、自身の見解のなかで触れたように「中国経済は今とても悪い」。

それをふまえて、台湾の賢明な有権者がどのような判断を下すのか。今週末の台湾に、世界の注目が注がれる。

 

2024年1月8日、高雄、支持者に手を振る総統選の候補者の1人、民与党・民進党で現副総統である頼清徳(らい せいとく)氏(車上左)(YASUYOSHI CHIBA/AFP via Getty Images)
2024年1月8日、高雄、支持者と握手する総統選の候補者の1人、民与党・民進党で現副総統である頼清徳(らい せいとく)氏。(YASUYOSHI CHIBA/AFP via Getty Images)
2024年1月8日、基隆市、頼清徳氏の選挙集会で歓声を上げる支持者たち。(I-HWA CHENG/AFP via Getty Images)
 
2024年1月8日、基隆市、頼清徳氏の選挙集会で歓声を上げる支持者たち。(I-HWA CHENG/AFP via Getty Images)
2024年1月8日、基隆市、選挙集会でスピーチする頼清徳氏。(I-HWA CHENG/AFP via Getty Images)
2024年1月10日、総統選の候補者の1人で最大野党・国民党の侯友宜氏(中央、白い服)氏。(YASUYOSHI CHIBA/AFP via Getty Images)
2024年1月10日、総統選の候補者の1人で最大野党・国民党の侯友宜氏(中央、白い服)氏。(YASUYOSHI CHIBA/AFP via Getty Images)
2024年1月10日、魚屋と話す総統選の候補者の1人で最大野党・国民党の侯友宜氏(中央、白い服)氏。(YASUYOSHI CHIBA/AFP via Getty Images)
2024年1月10日、選挙集会で支持者に手を振る総統選の候補者の1人で最大野党・国民党の侯友宜氏(右、白い服)氏。(YASUYOSHI CHIBA/AFP via Getty Images)
2024年1月10日、選挙集会で支持者と写真撮影をする総統選の候補者の1人で最大野党・国民党の侯友宜氏(中央、白い服)氏。(YASUYOSHI CHIBA/AFP via Getty Images)
2024年1月10日、基隆市の夜市にて、総統選の候補者の1人で第2野党である民衆党の柯文哲氏。(I-HWA CHENG/AFP via Getty Images)
2024年1月10日、基隆市の選挙集会で第2野党である民衆党の柯文哲氏の支持者たち。(I-HWA CHENG/AFP via Getty Images)
2024年1月10日、基隆市の選挙集会で第2野党である民衆党の柯文哲氏の支持者たち。(I-HWA CHENG/AFP via Getty Images)
2024年1月10日、基隆市の夜市にて支持者と記念撮影をする選挙集会で第2野党である民衆党の柯文哲・呉欣盈ペア。(I-HWA CHENG/AFP via Getty Images)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。