学校宿舎の火災で小学生13人死亡 「部屋には施錠か?」当局は情報封鎖=中国 河南

2024/01/23
更新: 2024/01/23

2024年1月19日夜11時(現地時間)河南省南陽市の学校宿舎で火災が発生。この火災により「小学3年生の男子生徒13人が死亡した」と伝えられている。

しかし中共当局は、事故や災害がひどいほど真相を隠蔽するのが常である。

今回のような「学校火災における子供の犠牲者」となると、社会的な衝撃も大きいことが予想されるため、当局が実際の被害状況を発表する可能性は低い。したがって、本当の死傷者数は、もっと多いかもしれない。

出火の原因は、現在のところ不明である。火災発生時、複数の目撃者によると「当時、火の勢いは非常に激しく、黒煙が上がっていた。遠くからでも、生徒たちの叫び声が聞こえていた」と振り返っている。

中国メディアの報道によると、火災は3階の男子宿舎の部屋の1つで発生した。火災のあった宿舎の窓には、いずれも「防犯用の金網」が取り付けられている。

また別の中国メディアは、同校の卒業生の話を引用して「夜、生徒が寝る時間になると、宿舎には鍵がかけられる」と伝えている。つまり、この宿舎は出火当時、施錠されていて生徒が脱出できなかった可能性があるのだ。

事件関係者の証言によると、防犯用の金網の下には、生徒がなんとか逃げようとして明けた「小さな穴」が残っていたという。

同じ学校に通う生徒の保護者の1人によると、火事の翌日「私たち保護者が参加するSNSグループチャットで、子供の状況について尋ねた別の保護者は、グループチャットのメンバーから除外された。また、私が参加していた、もう1つの保護者用グループのほうは、グループごと削除された」という。

現在、火災に遭った被害生徒の保護者たちは、現地政府によってホテルへ移され、管理下に置かれている模様だ。

21日の時点で、まだ遺体の確認もしていない「遺族」の1人は「出火の原因も知らされていない。我が子の遺体にも会えない。今でも通知を待っている」と述べている。

 

火災事故が起きた、河南省南陽市独樹鎮の硯山鋪村英才学校。(動画よりスクリーンショット)

 

現地の市民によると「火災で亡くなった子供の多くは、留守児童だ」という。中国語の「留守児童」とは、両親が出稼ぎなどで家を離れているため、祖父母と一緒に暮らしたり、親せきの家に預けられている児童をいう。

火災のあった学校は2週間に1回、週末が休みになる。このとき多くの生徒は、自宅に帰ることが許される。

火災のあった日はちょうど金曜日で、多くの生徒が帰宅していた。しかし、家が遠かったり、あるいは両親が出稼ぎに行っているため、迎えに来てくれる家族がいなくて学校に残った生徒もいた。その10数人の生徒たちに、まさかの悲劇が起きたのである。

事件の翌日、関連ニュースは複数の中国メディアによって報じられた。ネット上では「施錠された宿舎で、子供たちは逃げることもできず、生きたまま焼かれた。なんて可哀そうなんだ」などの嘆きの声が広がった。

なかには、以前起きた同様の事件を引き合いに出して「当局は、本当に教訓から学ばない」と非難する声も上がっている。

2021年5月25日未明、河南省商丘市の武術道場で火災が発生し、少なくとも18人が死亡、16人が負傷する大惨事が起きている。

この時、道場は唯一の脱出通路であるドアを施錠していた。そのため、子供たちは逃げられず、生きたまま焼かれて亡くなった。死者の多くは寄宿学生で、最年少は7歳だった。

事件後、遺族は当局から弾圧されて、口を封じられた。こうして同事件は、うやむやのうちに葬られてしまった。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。