6兆300億米ドル以上蒸発 投資家の信用失った中国、香港株式市場 

2024/01/22
更新: 2024/01/22

中国共産党(中共)の李強首相は、昨年のGDPが5%を超えたと述べたが、このことは広く疑問視されている。 

この1週間で、上海A株指数は2800ポイントを割り込み、香港ハンセン指数は5.8%下落した。香港と中国の株式市場の時価総額はピーク時から6兆300億米ドル(約932兆円)以上蒸発し、中国経済と株式市場に対する投資家の信頼が失われていることが浮き彫りになった。

ブルームバーグは、香港上場の中国企業株で構成するハンセン中国企業指数(H株)は、過去最長の4年続落を記録し、今年は11%下落したと報じた。

中国本土では、上海証券取引所および深セン証券取引所に上場しているA株のうち時価総額および流動性の高い300銘柄で構成されたCSI300指数が過去10週間のうち9週間下落した。 

ここ数日、「節目」とされるニュースが相次いでいる。東京が上海に代わってアジア最大の株式市場になり、インドの中国に対する評価プレミアムが過去最高を記録し、アクティブ運用ファンドもパッシブ運用ファンドも中国株式市場からの投資家の撤退ペースが加速している。中国の株式市場の暴落は、国内の資産運用業界に大打撃を与え、投資信託の閉鎖件数を5年ぶりの高水準に押し上げている。

モルガン・スタンレーによると、インデックスファンドのマネージャーらは今月、中国と香港で取引されている株式を正味3億ドル(約440億円)売却した。

バンク・オブ・アメリカによる新しい調査でも、アジアのファンド・マネージャーは中国への資産配分を12ポイント減らし、正味20%と、ここ1年以上で最低の水準となった。

中共商務部は19日、2023年の外資利用実績が年率8.0%減の1133億9100万元(約2兆3330億3113万円)になると発表した。新規外資は3年ぶりの低水準に落ち込んだ。

景気減速、金融市場の下落、流行後の弱いリバウンド、外国企業に対する一連の締め付け強化、日本人経営者の逮捕などが重なり、中国にもっと資金を投入したいという企業の意欲を減退させている、とブルームバーグは指摘した。

海外投資家は今年、四半期ごとに記録的な売り越しを続けている。 ブルームバーグのデータによると、外資は2023年第2四半期に27億人民元(約555億円)を引き揚げたが、第3四半期と第4四半期にはそれぞれ801億人民元(約1兆6486億円)と595億人民元(約1兆2243億円)に達し、今年は20日足らずで314億人民元(約6461億円)に達した。

中国の李強首相も、19日閉幕したダボス会議で対外開放を約束し、「中国経済は長期的に上昇基調にある」と述べ、昨年の中国のGDP成長率5.2%と発表した。

この数字は疑問視されている。 

ワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のエコノミスト、スコット・ケネディ氏は、公式発表の数字に対する疑念は中国の内外に広がっており、正当なものだとし、中国の経済界や投資家は中国経済が脱却したとは考えていないとコメントした。

米国の経済調査会社ロジウム・グループが発表した中国経済の見直しと見通しに関する報告書によると、依然として縮小する不動産セクター、限られた個人消費、貿易黒字の減少、地方財政の打撃といった現実から、2023年の中国の実質成長率は1.5%程度になる。

ノーベル経済学賞受賞者で経済学者のポール・クルーグマン氏はニューヨーク・タイムズ紙への寄稿で、GDPに占める中国の個人消費の割合は非常に低く、政府は長年にわたって巨大な不動産バブルを推進することで個人消費の不足をカバーしてきた、と指摘した。 しかし、バブルはいずれ崩壊するだろう。 中国経済はジレンマに陥っている。

程静