プレミアム報道 指導者らにとって最大の懸念は「偽情報と誤情報」だという

【プレミアム報道】WHOが準備を進める「疾病X」とは何か?(下)

2024/01/25
更新: 2024/01/26

高まる科学不信

こうした世界規模でシナリオをコントロールしようとする試みが進められたのは、いわゆる「科学的知見」や「公式見解」といったものに多くの人々が不信感を抱いている時期のことだった。新型コロナの流行時期において、人々はマスクの有効性や学校閉鎖の利点に関する情報に振り回された。

「安全で効果的な新型コロナワクチンがウイルスの蔓延を防ぐ」という誤った保証の下、多くの人々が仕事を諦めるかワクチンを打つかの選択に迫られ、その際にウイルスのリスクが考慮されることはなかった。子供たちは新型コロナの重症化リスクがほぼゼロであるにもかかわらず、カリフォルニア州などでは通学のためにワクチン接種を余儀なくされた。

企業や学校の閉鎖、さらにはロックダウンによる経済的、身体的、心理的被害は、当局がそれらの政策を中止した後も、ずっと続いている。

新型コロナによる死亡予測数が、インペリアル・カレッジ・ロンドンなどが作成した不十分なモデルによって著しくつり上げられたために、人々は恐怖を覚えた。

カナダでは、政府の新型コロナ対応としての規制措置に抗議したトラック運転手の銀行口座とクレジットカードが凍結され、保険が停止された。この一件で、政府と民間企業の効果的な協力関係が明らかになった。

スウェーデンで感染対策を担う国の疫学責任者アンデシュ・テグネル博士は、封鎖措置に走るこの時期の西側諸国の対応を、 「世界が狂ってしまったかのようだ」と評した。

主流メディアや学術出版社は、ロックダウンを賞賛し、パンデミック対策の標準的な要素であるべきだと示唆する報告書を公表してきた一方で、ロックダウンを批判する報告書を無視し、検閲していた。今日では多くの研究者がそのことを告発している。

医師たちもまた、同様の圧力にさらされている。2022年8月、カリフォルニア州は新型コロナワクチンに批判的な「誤情報」を広めた医師を罰する法律を可決した。しかし、この法律は言論の自由を侵害するとして、2023年1月に連邦判事によって阻止された。

世界保健機関(WHO)のパンデミック協定のような取り組みをはっきりと批判している医師のメリル・ナス氏は、新型コロナに関する州の義務に従わなかった結果、地元メイン州での医師免許を停止されたという。

WHOや地域の保健当局が、疾病と闘うという名目で権限を奪おうとする取り組みを、ナス氏は「ソフト・クーデター」と表現している。

「彼らはシナリオをコントロールしなければならない。さもなければ上手くいかない。医師や医療のシナリオをコントロールすることも、そのうちの1つだった」とナス氏はエポックタイムズに述べた。

異論を封じる

世界経済フォーラム(WEF)はそれでもなお、誤情報や偽情報を管理下に置かなければ検閲が常態化しかねないと警告している。

WEFの報告書は、「誤情報や偽情報に対応するために、政府は自分たちが『真実』と判断する情報に基づいて情報統制の権限をますます強める可能性がある」と述べている。

さらに報告書は、「インターネット、報道、より広範な情報源へのアクセスに関する自由は、すでに衰退の一途をたどっており、さらに多くの国々において、情報の流れがより広範に抑圧される危険性がある」としている。

現在最高裁で上告中のミズーリ州対バイデン事件の原告は、バイデン政権が新型コロナの起源、ワクチン、政治問題について、政府のシナリオに反する投稿を検閲するようソーシャルメディア企業に圧力をかけたと申し立てている。

連邦地裁の判事は2023年9月、原告側の言い分が正しく、バイデン政権が国民を検閲しようとしたことは 「米国史上最も大規模な言論の自由に対する攻撃 」であり、バイデン政権は「憲法修正第1条が保証する言論の自由をあからさまに無視した」との判決を下した。

WEFの報告書は検閲をリスクおよび懸念事項と見なしているが、政府や企業が検閲を救済措置とみなすこともあるようだ。フェイスブック、ユーチューブ、旧ツイッターの「X」は、政治的な検閲やパンデミック関連の検閲にまつわる数々の疑惑に直面している。

1月上旬、米国証券取引委員会(SEC)は、アップルのプラットフォームから保守的なアプリや宗教的なアプリを削除する方針を明らかにするよう求める、アップルの株主からの提案にゴーサインを出した。

これは、同社の行動が取り乱した左寄りの従業員に起因するものである、あるいは中国共産党の要請によるものであるとの疑惑がある中での動きだった。

また、WEFのリスク報告書は、今年は世界で30億を超す有権者が重要選挙の投票用紙を手にすることに言及し、「誤情報や偽情報の普及、およびそれらを拡散するツールが、新たに選出された政府の正当性を損なう可能性があり、その結果、暴力的な抗議行動から憎悪犯罪、内戦、テロに至るまで、さまざまな騒動が発生する可能性がある」と述べている。

経済記者、映画プロデューサー。ウォール街出身の銀行家としての経歴を持つ。2008年に、米国の住宅ローン金融システムの崩壊を描いたドキュメンタリー『We All Fall Down: The American Mortgage Crisis』の脚本・製作を担当。ESG業界を調査した最新作『影の政府(The Shadow State)』では、メインパーソナリティーを務めた。