昨年12月18日夜に甘粛省で発生した大規模地震により、無数の建物が倒壊した。多くの住民が家を失ったため、零下10数度の酷寒のなかに、まさに着の身着のままで放り出された。
そのような被災地の窮状を救うため、経済状態の厳しい中国であっても、救援物資などの善意を寄せる人々はいる。ところが、その善意の物資が指定した宛先へ届いていないというのだ。
1月31日、四川省に住む楊寧さんは「私が被災地(甘粛省)に郵送した10万元(約210万円)以上の価値を有する救援物資を(郵政部門が)勝手に処理した」として、郵便物を扱う当局である中国郵政を告発した。
楊寧さんは被災地の学校の教師宛て、つまり「個人宛て」に400着のダウンジャケットを郵送した。しかし、その荷物は宛先へ届かず「消えてしまった」という。
「事件」発覚後、中国郵政は行方が分からなくなったダウンジャケットが今どこにあるのかに関する説明は一切せず、ただ3千元余り(約6.2万円)の「送料なら弁償する」としている。
楊さんは昨年12月26日の夜、被災地の中学生たちが「本を燃やして、暖をとっている」ことをSNSを通じて知った。極限状況の中、必死で生きようとする中学生にとても感動した楊さんは、この中学生たちに防寒具のダウンジャケットを送ろうと決心した。
その2日後、楊さんは被災地の学校の教師宛てに、金額にして10万元以上の衣類を郵送した。しかし後に、荷物の受け取り人である教師から「届いた荷物は1つだけだった。それ以外の物資は、中国郵政が(宛先を指定しない)寄贈品と見なして、勝手に配ってしまった」という知らせが届いた。
楊さんは「私は、教師の個人名と電話番号、および指定した郵送先を書いた。この荷物は、中国郵政の私有財産ではない。中国郵政に、個人の財産を勝手に処理する権利などあるものか。10万元以上もする衣服だったのに、3405元ほどの補償しかもらえないなんておかしい。私は到底、この結果を受け入れられない」と主張している。
楊さんはまた、中国郵政に対して「もし中国郵政が本当に私が送った衣服を支援物資として被災民に配ったのならば、服を受け取った市民に着てもらい、その様子を動画撮影して送ってほしい。私が自分で送った衣服は、見れば分かるから」と要求した。しかし、いくら待っても中国郵政からの返答はないという。
1月31日、中国メディアが現地の中国郵政に連絡を取ったところ「上からの許可がないため、何も答えられない」という答えが返ってきた。
関連ニュースをめぐり、ネット上では「これはやりすぎだ!」「どうせ転売したんだろう」「強盗以外の何物でもない」といった怒りの声が広がっている。
(「郵送した荷物が宛先へ届かず、消えてしまった」と告発した楊寧さん)
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