【独自】日本で暗躍する中共スパイ、メールで監視要員を募集 「国境を越えた弾圧」浮き彫りに

2024/02/23
更新: 2024/02/22

「やばいですよ。集会にスパイが来ます」

逗子市議・丸山治章氏のもとに一本の垂れ込みが入ったのは、昨年夏のことだった。

「なぜそれが分かるのか」と丸山氏が聞き返した。「逗子市でウイグルの証言集会があるから、(スパイの)アルバイトしてみないかという勧誘のメールが知人から送られてきた」と先方は語った。

2023年7月末、神奈川県逗子市では、中国共産党によるウイグル人弾圧に関する証言集会が開かれた。「スパイ募集」メールには、証言集会のポスターを中国語訳したものに加え、現場で行うべき「工作」について事細かに記されていた。

証言集会を開催した丸山治章逗子市議。中国共産党のスパイ活動について語った。資料写真(Wenliang Wang/大紀元)

メールでは、会場の様子や参加者、横断幕、プラカードなどを撮影することに加え、壇上に上がってスピーチするウイグル人のビデオ録画などが求められた。会場内にいるウイグル人を一人残らず撮影することも要求事項に含まれていた。

さらに、「資料作成に必要だから」として、集会の参加人数について詳細に報告すること、配布された資料の数や、スピーチを行なった人数についても記録するよう求められた。

「予約しないと入場できないことがある。面倒かもしれないが、必要であれば事前に予約しておくように」という、「親切な」注意書きもされていた。

丸山氏によると、中国共産党が急遽スパイを募集することになったのは、「神風」の影響だという。

「台風の影響により、本当は来日するはずだった福建省の役人らが足止めされたため、急遽在日中国人にメールしたという。慌てていたせいか、他の人にも広がってしまったようだ」

丸山氏によると、人権集会に中国共産党のスパイと思われる人物が来るのはよくあることで、警察や公安も目を光らせている。

以前にも、警察が疑わしいと判断した人物を追跡したところ、会場内では日本語で会話していたが、会場外に出ると中国語を使っていたケースもあったという。また、中国人が日本人名で会場に入場していたケースも確認されている。

日本では過去にも中国共産党支持者が秩序を乱す行為が発生している。

写真は2021年7月、新宿中央公園で警察と対峙する中国共産党支持者(Photo by Takashi Aoyama/Getty Images)

2021年7月1日には、香港やチベット等の人権・民族団体が中国共産党政権による犠牲者を弔う集会を中国人が妨害する事件が発生した。僧侶が読経をしていると、帽子を被った男が机を叩いて立ち上がり、「中国共産党がなければ新しい中国はない」という中国共産党のプロパガンダスローガンを叫んだ。数人の男がそれに続き、集会の進行を妨害しようと試みた。

男らは会場から逃走を試みた。会場後方に待機していた警察官がその後を追い、身柄を拘束。男らはそのまま警察車両で連行された。

米連邦捜査局(FBI)は、中国共産党が人権弾圧を国外で行うこうした行為について、「国境を越えた弾圧(Transnational Repression)」と呼んでいる。下院対中共特別委員会のマイク・ギャラガー委員長は2023年12月の公聴会で、「中共は、世界中の人々を監視し、影響を与え、処罰し、強制しようとしている。中共は批判者らを黙らせ、政治をコントロールし、国境をはるかに越えて警察権を行使しようとしている」と指摘した。

丸山氏は「日本人はみんな良心的で、疑うことを知らない」と現状の「平和ボケ」を嘆く。中国共産党のスパイ工作員が蔓延るなか、日本人一人ひとりが警戒を強めるしかないようだ。

政治・安全保障担当記者。金融機関勤務を経て、エポックタイムズに入社。社会問題や国際報道も取り扱う。閣僚経験者や国会議員、学者、軍人、インフルエンサー、民主活動家などに対する取材経験を持つ。