アメリカ社会 科学者らが国連の主張を一蹴、CO2排出が地球を脅かすという説は「完全にゴミ」

【プレミアム報道】CO2への固執が気温上昇の真因を見落とす、専門家らが指摘(上)

2024/02/24
更新: 2024/02/25

国連貿易開発会議(UNCTAD)の推計によると、2023年から2030年にかけて、気候変動対策として進められる持続可能な開発目標(SDGs)の取り組みに対して、毎年世界で合計約5兆5千億ドル(約827兆6675億円)の費用が必要になるという。

米国などの経済圏では毎年一人当たり2026ドル(約30万4882円)の費用がかかり、低所得国では332ドル(4万9872円)〜1864ドル(約28万6円)かかる。

これとは別に、左派系の非営利団体「Climate Policy Initiative(気候変動イニシアティブ)」の報告書によると、2021年と22年に、世界の納税者は気候関連プロジェクトに毎年1兆3千億ドル(約192兆4500億円)を費やしており、2031~50年の「年間必要な気候資金」は、毎年10兆ドル(約1504兆8500億円)以上にもなるという。

バイデン大統領は昨年11月14日、インフレ抑制法(IRA)を通じて60億ドル(約9029億円)の新規投資を発表し、「気候変動の影響を故意に否定する人は、米国民を危険な未来に追いやっている。私たちが目にしている影響はより悪化し、より頻繁かつより凶暴になり、よりコストがかかっていくだけだ」と述べた。

2022年8月、バイデン大統領はIRAに署名した際、「気候危機に立ち向かい、経済とエネルギー安全保障を強化し、史上最高の積極策を進めるために3690億ドル(約55兆5289億円)を投資する」と述べた。

ゴールドマン・サックスのレポートには、「この次のエネルギー革命を実現するための重要な資金はIRAから来ると予想されている。IRAは2032年までに推定1兆2千億ドル(約180兆円)のインセンティブを提供するだろう」とある。

新たな取り組みに数兆ドルも投入されようとしているが、その背景には、法的拘束力のあるパリ協定で定められた「世界の温室効果ガス排出量を大幅に削減する」という趣旨の下に、気温を産業革命前の水準から1.5°C以上高くならないように維持するという目標がある。

しかし、二酸化炭素(CO2)排出量の減少は、最大限に制限された状況下でも、効果が出るまでに数百年から数千年の時間がかかると専門家らは述べている。

「CO2の排出が完全に止まった場合でも、大気中のCO2が『産業革命前』のレベルに戻るには何千年もかかるだろう」と民間の科学に関する団体である王立協会(Royal Society)はウェブサイト上の報告書で述べている。王立協会は「世界で最も著名な科学者らのフェローシップ」を名乗っている。

報告書には、「地表温度は少なくとも1千年の間は上昇し続ける。これは過去から現在までの排出が及ぼす温暖化への長期的な影響を示している。したがって、現在CO2が引き起こしている地球温暖化は、人間の時間スケールでは本質的に不可逆的だ」とある。

NASAのウェブサイトのFAQのページも同じ立場を表明している。

2017年1月6日、蒸気と排気が立ち上るドイツ・オーバーハウゼンの発電所(Lukas Schulze/Getty Images)
 

「今日、温室効果ガスの排出を止めれば、地球の気温上昇は数年以内に平坦化し始め、その後、気温は横ばいになるが、気温は何世紀にもわたって高止まりする」とNASAは述べている。

そもそもCO2が原因ではないからだと主張する科学者もいる。

「CO2は地球温暖化の原因ではない。温暖化がより多くのCO2を排出する」と、理論物理学者で認定コンサルティング気象学者のエドウィン・ベリー氏は述べている。彼は、CO2に関する王立協会の立場を「全くのジャンクサイエンス」と呼んだ。

オタワ大学地球環境科のイアン・クラーク名誉教授は、今すべての温室効果ガスの排出が止まったとしても地球は温暖化を続けるが、それはCO2のせいではないという意見に同意した。

また、「CO2が原因で気温が上昇するのではなく、気温上昇が原因でCO2が排出されるのであり、それ自体は太陽活動によるものだ」と、一般的な意見に反する見解を示した。

気温とCO2

クラーク氏の主な研究分野のひとつは、古気候学(木の年輪データや氷床コアなどの代理記録を用いた気候条件の研究)であり、特に北極圏の古水文地質学は、歴史を通じた地球の水に関する研究である。

「氷河期には気温の大きな変化があった。これは直接的な太陽活動ではなく、地球上のある重要な緯度に降り注ぐ太陽活動の量と関係しており、すべては天体のイベントである」とクラーク氏は述べた。

「太陽系にある地球は、あちこち動き回り、押し合いへし合いをしている。そして、太陽の入射に影響を与えるさまざまな軌道パターンがあり、それが氷河期と間氷期を生み出している。そして、CO2はそれを追いかける。そのため、氷河期から間氷期にかけて気温の変化が激しくなり、CO2は氷河期には非常に少なくなり、間氷期には非常に多くなる」

「その結果、CO2が気候を動かしているように見えるが、実際にはCO2が気温に従っている。そこには約800年の遅れがある」

クラーク氏によれば、氷河期、特に過去1万年間については、代理記録のおかげで、科学者たちに気温に関してかなり優れた考えがあるという。これらの記録から、中世の温暖期は現在よりずっと暖かく、農業と文明が栄えたことがわかるという。

小氷河期は1400年代から1800年代にかけて続いた。 「当時は農業に苦労した」とクラーク氏は語った。

「テムズ川は凍りついた。当時の寒さは悲惨だったという人もいる。しかしその後、再び暖かくなり始めた。大体1千年ごとに、このような変動があるようだ。これは太陽活動によるものであり、地熱や原子力エネルギーを超えた究極のエネルギー源である太陽の重要性がそこに表れている。太陽光が気候を左右する」

科学者ウィリアム・ジャクソン氏による別の査読済み研究論文では、過去4億2500万年間のCO2レベルと気温の関係を調べている。

ジャクソン氏は、カリフォルニア大学デービス校化学科の著名な名誉教授であり、CO2、窒素、一酸化炭素などの分子が惑星の大気中で果たす役割に精通している。

2017年に発表された彼の論文によれば、古代には大気中のCO2濃度の変化は気温の変化を引き起こしていなかったという。

同様に、ネイチャー誌に論文が掲載された研究者グループが炭素同位体組成を100万年スケールで調べたところ、大気中のCO2は気温とは無関係で、特に火山噴火などの大きな出来事の後には逆の傾向さえ示すことを発見した。

さらに、気温と大気中のCO2が一定のレベルに達すると、有機炭素の埋没量が急激に増加し、最終的に大気中のCO2濃度が大幅に低下することを発見している。

ベリー氏によると、これはCO2レベルのバランスをとる自然の活動であり、現在進行中のプロセスだという。

エポックタイムズ記者。エネルギー政策や政治問題を中心にさまざまなトピックを担当。医療業界における検閲や政府との癒着に関する取材も行う。ジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせる前は、米空軍で軍用機J-STARSの空挺作戦技術者として活躍。