SDGs 科学者らが国連の主張を一蹴、CO2排出が地球を脅かすという説は「完全にゴミ」

【プレミアム報道】CO2への固執が気温上昇の真因を見落とす、専門家らが指摘(下)

2024/02/25
更新: 2024/02/24

流入と流出

CO2は、大気中から光合成によって植物に流れ込み、分解によって土壌に流れ、海洋に吸収されるほか、呼吸、蒸発、化石燃料の燃焼によって放出される。このプロセス全体を炭素循環と呼ぶ。

理論物理学者で認定コンサルティング気象学者のエドウィン・ベリー氏は、「大気中のCO2が一定レベルまで増加すると、自然は自動的に流出量を増やす」と述べた。

「注ぎ口が開いていて、あるレベルに達すると水が溢れる浴槽のようなものだ。流入量は一定で、水位はあるところまで上昇する。レベルが上がるほど、流れ出るスピードも速くなる。どのような流入量の設定にもバランスレベルがある。つまり、流出量は流入量に等しい。流出量が流入量に達したとき、そのバランスレベルに達し、もはや蓄積されることはない」

ベリー氏は、CO2増加の責任は人間だけにあるという前提には問題があると述べた。

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、1750年以降、CO2濃度は280ppmから420ppm以上に増加している。IPCCは、この増加は人間によって引き起こされたと主張している。

IPCCは以下のように述べている。

「現在の大気中のCO2とCH4(メタン)の濃度は、極地氷床コアに残された65万年前までさかのぼる大気組成の記録から発見された産業革命前の値をはるかに超えている」

「産業革命後のこれらガスの増加が自然のメカニズムに起因していないことを複数の証拠が裏付けている。(中略)化石燃料の使用によるCO2排出や、土地利用の変化が植物や土壌中の炭素に及ぼす影響によるCO2排出が、大気中のCO2増加の主な原因だ」

ベリー氏によると、「IPCCは本質的に間違っている」という。

「私はIPCC独自の炭素循環データを使ったが、IPCCによればその精度は20%程度だそうだ。このモデルから、人類が140ppmを生み出しているとは言えない。だいたい30ppmくらいだ。つまり、IPCCは本質的に間違っている」

「大気中の一定量のCO2が一定の温度上昇を引き起こす」という主張には科学的根拠がないとベリー氏は指摘する。

「CO2を350ppmに減らし、以前の気温まで冷やさないといけないと彼らは言うが、そこに物理学は存在しない。その主張は全くのゴミだ。CO2は気温の変化を引き起こさない。気温がCO2の変化を引き起こす」

太陽が気候を支配する

「排出量を完全に削減すれば、CO2は現在のペースでの増加を止めるだろう。おそらくある時点までは増加し続け、その後は減少する可能性はあるが、気温に左右される」とオタワ大学地球環境科のイアン・クラーク名誉教授は主張する。

また、世界のさまざまな地域によって、また一年のうちさまざまな時期によって、CO2量は15〜20%ほど変動する。季節ごとの気温によって変動が起きる。

「夏に涼しく、冬に寒くなれば、その変動によってCO2はさらに減少し始めるだろう。全体として、気候は太陽の指示のままに変化していく」とクラーク氏は述べた。

太陽・太陽圏観測機(SOHO)の天文学者が2002年10月25日に撮影した太陽表面から噴出した紅炎の画像。この太陽現象の巨大さを表すために、同じ縮尺で地球が示されている(SOHO/ESA/NASA/Getty Images)

「私たちは、太陽の様々な周期とそれらがどのように積み重なるかについてよく理解している。それらの周期は時に増幅し合い、時に打ち消し合う。混沌としたシグナルのようなものが伝わってくるが、中には強いものもある。この1千年周期はかなり強いようだ」

「ローマ温暖期、中世の温暖期と来て、今は温暖期だ。温暖期が数百年しか続かないことを歴史や記録は物語っている。私たちはすでにこの時代に入ってから100数年が経っている」

クラーク氏は、CO2が気温に影響を与えないことに加え、植物への影響が予想されるためCO2削減が危険であると指摘した。

「トウモロコシのようなC4植物が進化したのは、わずか2千万年~3千万年前だ。大気中のCO2の減少に対応して進化した。つまり、C4植物は我々の生物圏では比較的後発の植物であり、CO2減少の危険性を反映している」

樹木、小麦、米といった主要な植物はC3植物として知られ、800〜1500ppmといったより高いCO2レベルで繁殖する。

クラーク氏は、世界の穀物収量の向上と地球の全体的な緑化が、CO2増加の利点の1つだと述べた。

2012年7月20日、インディアナ州ホワイトランド近郊のトウモロコシ畑で灌漑システムを動かす農家(Scott Olson/Getty Images)

「たとえ、今日CO2の排出が止まったとしても、気温は数百年から数千年にわたって上昇し続ける」という王立協会の調査結果について、エポックタイムズがコメントを求めたところ、同協会の上級報道官であるアレックス・マシューズ・キング氏は電子メールで、「これは王立協会と米国科学アカデミーのフェローが共同で執筆した査読済みの報告書だ」と回答した。

「気候変動は、私たちの時代を特徴づける問題の一つだ。多くの証拠に基づき、人間が地球の気候を変化させていることはかつてないほど確実になっている。大気と海洋の温暖化に伴う海面上昇、北極の海氷の大幅な減少、その他の気候関連の変化が起きている」

「気候変動が人間や自然に及ぼす影響は、ますます明らかになっている。未曾有の洪水、熱波、山火事により、数十億ドルの被害が発生している。生息地は、気温や降水パターンの変化に応じて急速に変化している。行動を求める声はますます大きくなっている」

クラーク氏は、人類がこの惑星の天然資源を消費してきたことに疑問の余地はないと同意を示した上で、それ以上に大きな影響を海洋に対して及ぼしているとし、「大型魚やクジラの90%を死滅させてきた」と指摘した。

「気候会議に費やされた資金と資源が、実際に環境問題を改善するために使われると信じている」とクラーク氏は述べた。

「気候問題に対する現実主義者であれば誰でも、緩和措置のための私たちの資金が幻想に費やされていることを知っている。CO2のサーモスタットを戻そうとしたり、サーモスタットを戻して1.5度の温暖化を防ごうと考えても、私たちがやっていることが気候に影響を与えることなどない」

エポックタイムズ記者。エネルギー政策や政治問題を中心にさまざまなトピックを担当。医療業界における検閲や政府との癒着に関する取材も行う。ジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせる前は、米空軍で軍用機J-STARSの空挺作戦技術者として活躍。