米バイデン政権は29日、中国の電気自動車(EV)を含むコネクテッドカー(つながる車)のリスクについて調査を始めると発表した。政権は、中国製のEVを使った情報収集活動や、さらには車の機能を遠隔で無効にする可能性に懸念している。
コネクテッドカーとは、インターネットにつないで通信できる車だ。携帯電話、ナビゲーションシステム、重要なインフラ、車両のメーカーにも接続され、運転手や移動情報が共有される。
バイデン政権は、「中国製のコネクテッドカーは、私たちの市民やインフラに関する機密データを収集し、データを中国に送信する可能性がある」と声明で述べた。
世界の電気自動車市場で中国の自動車メーカー、比亜迪(BYD)が急速にシェアを拡大させる。昨年は世界最大のEV販売業者であるテスラを追い抜いた。日本でも1日、販路拡大のために2025年までに販売店100店舗の数値目標を掲げた。
米中対立が続く中、高関税もありBYDは米国市場へは進出していない。「進出計画もない」と、BYDの副社長兼BYDアメリカズのスティラ・リー最高経営責任者はヤフーファイナンスに語っている。
いっぽう、米国当局や業界幹部は、中国企業がコスト増を負担することを選び、進出の可能性を模索するのではと予想している。
バイデン政権の調査開始は中国製EVの進出を見越して行われる。レモンド商務長官は記者会見で、「中国製の車両が米国で広く普及する前に」先んじて行うと述べた。
「提案規則の事前通告を発行して、国家安全保障上の懸念を評価する。特に中国製の技術が搭載された車両におけるコネクテッドカーのリスクを調査する」とレモンド氏は指摘する。政権は中国のほか、イランやロシアなど懸念のある国から輸入される自動車への規制を検討する可能性もあるとした。
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