ショールームで展示中の車が「自然発火」 再び高まる「中国製EV」がもつ危険性への懸念

2024/03/08
更新: 2024/03/09

今月4日、浙江省杭州市にある自動車関連の一大集積地である「杭州汽車城(杭州自動車シティ)」のショールームに展示してあった電気自動車(EV)が白煙を上げ、発火する事故が起きた。バッテリーからの自然発火とみられる。

その様子を捉えた動画がネットで広まり、再び、中国製EVの「安全性」というより「危険性」に関する懸念が話題になっている。

「展示車が発火」というブラックジョーク?

もしも販売店が「自殺願望の人は、この車をお買い求めください」と言えば、見事な黒色笑話(ブラックジョーク)になる。なんと販売用のショールームに展示してあったEVから突然、白い煙が立ち上ったのだ。

駆け付けた消防隊員によって、車はなんとか屋外の駐車場に移動された。しかしその直後、白煙を上げていた車から発火。大きな炎が立ち上った。

ネットに流出した現場の様子を捉えた映像には、燃え盛る炎を消すため消防士が放水しているが、ひとつの炎が消えたと思ったら別の炎がまた噴き上がるなど、消火に苦戦する様子が映っていた。

「中国産EVは良く燃える」というのは、もはや周知の事実であり、何も目新しいニュースではない。しかし、今回これが特別「話題になった」背景には、ある理由があったからだ。

その理由とは、事故の様子を捉えた動画に寄せられたコメントのなかに「(このEVは)どこのブランドなの?」という質問があり、その答えが注目されたからだ。

「どこのブランドなの?」という質問に対し、動画撮影者は「(私の口からは)言えない」と答えた。しかし、動画撮影者は「言えない(不能說)」と言っておきながら、きちんとその答えを匂わせている。

もし、そのブランド名が米国の「テスラ」であれば、中共メディア、さらには世界中の中国語メディアが喜んで飛びつくだろうから「言えない」はずはない。

だとすれば、発火したのは、やはり国産車(中国製)である。しかも、中共政府が後押しするブランドである可能性が極めて高いだろう。

実際、動画撮影者の「言えない」という回答に対し、多くのネットユーザーから「なるほど」「やっぱりそうか」「そりゃ言えないよな」といった納得コメントが寄せられている。

現在、「杭州汽車城」での発火事故を映した動画は当局の検閲に遭っており、中国版TikTok抖音といった中国SNSでは、見つけることが難しくなっている。

(3月4日、「杭州汽車城」に展示してあった中国産EV車が自然発火する事故が起きた。白煙を上げ始めた車は、屋外の駐車場に移されてから、さらに激しく炎を上げた)

中国産EVで「原因不明の発火」が頻発 

世界の自動車業界ではEV(電気自動車)へのシフトが進んでいる。ところが世界各地で、新しい電気自動車や、ガソリンエンジン車に充電機能を併せ持つプラグインハイブリッド車といった「新エネルギー自動車」が、通常に使用しながら自然発火するという事故が起きている。

なかでも「(中国の)国産車はよく燃える」は、中国の民間では常識になりつつある。

しかし、これを報じる中国メディアはほとんどなく、中国では米国製テスラの事故ばかりが槍玉に挙げられている。実際には「中国産EVのバッテリー設計が不合格で、自然発火が頻発している」との指摘があり、その安全性には大きな懸念が寄せられている。

ところが中国の場合、中共政府が普及を進めていることもあり、こうした国産ブランドは中共当局によって手厚く保護されているため、ネガティブなニュースがあってもすぐに情報封鎖されてしまうのだ。

現実に、中国製EVの発火事故は非常に多く起きている。路上で炎上するケースも多いため、市民が撮影した現場の動画も多く流出するが、こうした事故は当局によって隠蔽され、国内ではほとんど報道されていない。

しかも、それらの事故のうち、多くが原因究明されないため実態が不透明であるばかりか、改善措置が全くなされないまま同様の事故が続発することになる。

「日本や世界へ売り込みたい」中共の思惑

近年、中共当局は「国家補助金」などの手段を用いて、中国産EVを国際市場に売り込もうとしている。いっぽう欧米では、国家安全保障と自国産業保護のために、中国産のEV車のダンピング(投げ売り)への対抗措置をとっている。

しかし、世界の主要メディアによる報道を見る限り、欧米諸国はいまだに中国製EV車の安全性について、明確な問題提起をしていないのが現状である。

日本においては、欧米諸国に比べてEVの普及そのものが、まだ進んでいない。その主な原因は「バッテリー寿命、車体価格、航続距離」の3点において、日本人が購入をためらうマイナス要因があるため、と言われている。

しかし「中国製EVが、発火しやすい」という根本的な安全性への懸念については、欧米諸国と同様、日本において十分認知されているとは言い難い。

環境保護への関心が高い京都市では2021年12月から、一部の路線バスに中国製EVが導入されている。

確かに、ガソリン車のような排気ガスを出さないことが、EVの大きなメリットではある。

しかし、中国国内では中国製EVの発火炎上事故が頻発しており、それを中共政府が隠蔽している事実もある。だとすれば、日本へEVの売り込みを狙う中共の思惑に対して、日本側も正確な情報と十分な警戒感をもつ必要があるだろう。

画像(左)は路上で自然発火する中国産BYDのEV車、2022年 9月19日、広東省広州市の路上。画像(右)は路上で自然発火する中国産EV車、2023年3月15日、武漢。(SNSより)

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李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。