バイデン対トランプ 米国史上稀に見る大統領選の対決

2024/03/08
更新: 2024/03/08

「スーパーチューズデー」の後、バイデン氏とトランプ氏は、米国史上稀に見る歴史的な大統領選の対決に正式に突入している。

米国の歴史上、これほど高齢の大統領候補者同士の対決はかつてなく、またこれほど対照的な二人の候補者から選択を迫られたこともなかった。

トランプ氏の最後の挑戦者であるニッキー・ヘイリー元国連大使が「スーパーチューズデー」の後に撤退を宣言したことで、米国は2024年大統領選挙の新たな段階に正式に入っている。これはバイデン大統領とトランプ前大統領の一騎打ちであり、歴史上のどの選挙とも異なる。

また、米国の歴史上、選挙運動と裁判所での闘いが同時に行われることはかつてなかった。トランプ氏は一連の刑事訴訟に直面しており、家族企業を弱体化させる可能性のある高額な民事判決にも直面している。

一方で、バイデン氏は高齢と職務適性に関する疑問に直面しており、低迷する支持率を克服し、2期目を勝ち取るためには大きな努力が必要となる。

ソーシャルメディアの登場により、一般大衆が情報を入手するルートが多くなっている。伝統的メディアが政治に与えていた巨大な影響力は弱まりつつあり、ニュース報道の基準と規範もより多様化している。

次に注目されるのは、3回の大統領候補者討論と1回の副大統領候補者討論である。これらが予定通りに行われるかはまだ分からない。

討論会が行われた場合、有権者は候補者が提示するホワイトハウスでのビジョンだけでなく、特に公の場における彼らの様々な特徴に注目する。

たとえば、言葉遣いの失敗、大統領職の適性、高齢による認知能力低下の兆候などである。

「ウォール・ストリート・ジャーナル」の世論調査によると、選挙民の約4分の3が、バイデン氏は高齢過ぎて再選に挑むべきではないと考えている。

同氏は、米国大統領職に必要な精神的鋭敏さを持っていることを大多数の米国人に納得させなければならない。

一方でトランプ氏は、一連の刑事告発と不利な民事判決がホワイトハウスでの職務遂行を妨げることにはならないと米国民を説得しなければならない。なぜなら、彼が有罪判決を受けた場合、彼の政治的地位に損害を与えるからだ。

トランプ氏は米国政治の異例の存在

米国政治の中で異例の存在であるトランプ氏は、他の多くの候補者のように、政党の統治理念や党内リーダーたちの団結に依存してきたわけではなく、自身の個性と常識に基づいて選挙民を引き付けた。

彼は常識にとらわれず、選挙運動の方法を変え、ソーシャルメディアプラットフォームを通じて支持者と直接コミュニケーションを取った。

それは一方で「口は災いの元」ともなっている。

例えば、彼は党内選挙の相手であるヘイリー氏の資金提供者に対し、ヘイリー氏に寄付を続ければ党から追放されると警告した。その事はメディアによって、彼は党内結束を妨げていると報じられた。

また、彼は下院の共和党員に対して、上院の民主党員の国境法案を支持しないよう警告し、「悪い法案なら法案がない方がましだ」と述べた。それは逆に民主党によって、トランプ氏は国境問題を解決したくないのだと宣伝させることになった。

ジョージ・W・ブッシュ政権の高官カール・ローブ氏は、フォックスニュースの番組で、トランプ氏に対して、攻撃時に「汚い言葉」の使用をやめるよう促した。

ローブ氏は、大統領に勝利した際には品位を保つよう促している。

ジョージ・W・ブッシュ政権の報道官、アリ・フライシャー氏とトランプ政権の報道官、ケイリー・マケナニー氏も、トランプ氏が「スーパーチューズデー」の勝利演説でヘイリー氏に対し、友好的な態度であるよう勧めた。これは共和党員を彼の周りに結集させる機会を増やすためである。

明らかに、トランプ氏はこれらの助言を受け入れた。勝利演説では、「結束」に重点を置き、ヘイリー氏についてほとんど触れなかった。

民主党のクリントン元大統領のホワイトハウス補佐官、ダグ・ソズニック氏は「ワシントン・ポスト」紙に対し、「今はトランプの時代であり、我々はこの時代についてあまり理解していない。彼は米国政治において最も支配的な人物であり、全てが彼を中心に展開している」と述べた。

経験豊富なバイデン、権力の頂点を目指す5度目の挑戦

バイデン氏にとって、副大統領候補や大統領候補として、今回は5度目の選挙戦である。

バイデン氏は3月7日の夜に一般教書演説を行う。これは大統領として、任期中に達成した成果を国民にアピールし、同時に対立候補を攻撃する絶好の機会である。

この演説は、今年彼が最も多くの聴衆を集めることが予想されるイベントであり、8月にシカゴで開催される民主党全国大会での演説に次ぐものとなるだろう。

出口調査:共和党と民主党の選挙投票動機の違い

選挙データ会社Decision Desk HQによる「スーパーチューズデー」の出口調査によると、共和党と民主党の選挙投票の動機は異なる。

民主党の選挙投票者にとって、27%が最も関心を持つ問題として中絶を挙げ、25%が経済、11%が教育を挙げた。

一方、共和党の選挙投票者では、44%が移民問題、28%は経済問題を挙げた。

 

林燕
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