台湾の食薬署(台湾衛生福利部食品薬物管理署)は先月、中国から輸入した「唐辛子粉」のなかから、発ガン性をもつ工業用染料スーダンレッド(蘇丹紅)が検出されたことを発表した。
この中国産の発ガン性物質入りの唐辛子粉(1袋で約8キロ)は、台湾の食品企業によって、すでに市場に出てしまったスナック菓子「蝦味先(香辣口味)」などの製造に使用されていたことが分かっている。
台湾当局は、同スナック菓子の店頭からの撤去や、消費者に対するリコールの呼びかけなど、対応に追われた。
しかし、この「スーダンレッド危機」は、まだ収束していない。
問題の唐辛子粉を原料にしてつくられた塩コショウなどの調味料(品名は「香辣十三香」「胡椒塩調味粉」)が飲食店で使用されていることがわかった。そのため台湾の衛生当局は、さらなる対応に追われている。
台湾の屋台などでよく売られている大きな鶏から揚げ「鶏排(ジーパイ)」を作る、ある飲食店は、問題の調味料を72袋仕入れており、すでに58袋を使い果たしてしまった。
また「鶏排店」のほかにも、「冷麺店」で使用された調味料からも問題の原料が発見され、使用中止になっている。
台湾の各地方の衛生当局による本格的な調査が進むにつれて、問題の唐辛子粉を使用した製品が相次いで明らかになっている。
例えば、台湾北部の新北市では、白菜の漬物が関係する「キムチ危機」の真っただ中にある。新北市にあるキムチ製造の大手2社が、問題の唐辛子粉を使用してキムチを製造してしまったからだ。そのため「発ガン性物質入りのキムチ」が、すでに台湾の市場に流通してしまっている。
元はと言えば「中国産の有害トウガラシ粉」が台湾にもたらした食品公害であるが、対応に追われるのは輸入した台湾側の当局である。同様のことが、今後日本で起きない保証はない。
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