米国議会は、TikTokを親会社ByteDanceから分離させる法案を推進している。
3月13日、下院は圧倒的多数で、TikTokが主に米国企業に所有されるか、米国で禁止されるかを求める案を承認した。この動きは、バイデン米大統領からの支持を得ている。
そうした中、中国共産党(中共)がTikTokの売却を望んでいないとの報道がでており、その背景には3つの主な理由があると分析されている。
それは、先例を作ることへの懸念、ソフトウェアのアルゴリズムや過去のログの引き渡しを恐れていること、そしてTikTokを使ってアプリが禁止されていない国々からデータを収集し続けたいという意向である。
中共がTikTokを米国人に売却したがらない
3月14日、中共商務部の報道官は定例記者会見で、米国に対してTikTokへの「不当な圧力を停止する」よう要求し、「関係者は中国の法律を厳守すべきだ」と述べた。
ウォール・ストリート・ジャーナルの3月18日の記事によると、情報源はByteDanceの幹部の間に、もし同社がTikTokを分離しようとすれば規制上の障壁に直面する可能性があるという中共政府の意向を強化したと考える者がいると伝えている。
昨年3月、中共商務部の報道官は、TikTokの売却や親会社のバイトダンスとを分離させることは技術輸出の問題が絡むため、中国の法律に基づいた行政許可の手続きが必要であり、最終的な決定は中共政府によって下されると述べていた。
報道によると、TikTokの米国事業を買収したいと考える買い手が後を絶たない中、中共政府はTikTokの売却を認めない構えを示している。米国で1億7千万ユーザーを持つTikTokにとって、これは運営会社ByteDanceにとって困難な選択を迫られるものである。
関係者の話によると、中共政府は、自国の企業であるByteDanceに対し、米国にTikTok売却を選ぶのではなく、TikTok禁止を選ぶ方針を示している。この動きは、中共政府が売却を好まないというByteDance幹部の解釈につながっている。
ByteDanceの創業者、張一鳴氏は、公にはTikTokの売却に関して外部の買い手との交渉を行っているとは述べておらず、彼は会社の株式を一部保持している。
一方、米国の前財務長官スティーブン・ムニューシン氏は、TikTokの買収を目的としたコンソーシアム(共同事業体)を発表した。また、米ゲーム会社大手アクティビジョン・ブリザード(Activision Blizzard)の元最高経営責任者(CEO)、ボビー・コティック氏は、張氏に買収意向を伝えている。
中共がTikTok売却を避ける理由
中国問題の専門家、章天亮氏はメディアチャンネル『天亮時分』で、中共政府がTikTokの売却を禁止する主な3つの理由を分析している。
第1に、中共は長年にわたり「民族主義」を掲げてプロパガンダを展開してきたが、米国の圧力によりTikTokを売却することは、大きな面子の失墜につながるであろう。また良くない前例となる恐れがある。
第2に、TikTokのアルゴリズムやログデータの秘匿が必要な点が挙げられる。
TikTokは以前、ポルノや薬物に関する不適切なコンテンツを大量に配信し、特に青少年に悪影響を及ぼしたと批判されていた。
これらの問題は、中共が公にしたくない諸問題の一端を表している。また、過去の記録を詳しく分析すると、中共のインターネット操作員が、どのようにして米国や台湾に潜入し、選挙への影響を目的とした情報を拡散していたかが明らかになる可能性がある。
TikTokが米国企業に買収され、これらのデータが渡された場合、米国がデータ分析を行うことで、中共による情報戦の手法が完全に明かされることになる。これは中共にとって最も恐れるべき、隠したい事実である。
第3に、米国ではTikTokの使用が禁止されているものの、他国では引き続き利用されており、中共はこれを通じてデータを収集し続けることができる。しかし、もしTikTokが米国に売却されれば、中共はこのアプリを通じたスパイ活動やデータ収集の手段を失うことになる。
章天亮氏によれば、中共はTikTokの売却を避けるであろう。その理由は、失うものが得るものに比べてはるかに大きいからであり、特に公表できないような秘密が多く含まれているためである。
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