中国経済低迷、カード発行数年間2800万枚減少

2024/03/21
更新: 2024/03/21

中国経済の減速が続いている中、所得の減少から人々の財布の紐が固くなり、無駄な出費を控えるようになったため、大手銀行のクレジットカード事業が縮小し、発行枚数は1年間で2800万枚減少した。かつて多くの若者を魅了した提携クレジットカードも徐々に姿を消しつつある。

中国メディア「市界」が3月20日に伝えたところによると、3月に入り、交通銀行、長沙銀行、浙江民泰商業銀行などの複数の銀行が提携カードの発行停止を発表した。これには交通銀行の「鬼滅の刃」クレジットカードと大学生向けバーション、長沙銀行の京東金融の3種類の提携カード、民泰銀行と京東金融との4種類の提携カードが含まれている。

2023年の年末から今年の初めにかけて、交通銀行、招商銀行、郵政儲蓄銀行、浦発銀行なども一部の提携カードの発行を停止している。特に招商銀行は一度に15種類のカードの発行を停止した。

ある銀行業に従事する情報筋は例を挙げて説明した。「昨年末に廃止された通信銀行とウォルマートの提携カードは発行が中止されている。昨年ウォルマートは多くの店舗を閉店したため、ウォルマート・ショッピングカードの利用者の多くはショッピングカードを使う場所がなくなり、提携クレジットカードは当然不要になった」

提携カードとは、カード会社とブランドに加えて、第三者的な企業が提携会社となって発行するクレジットカードを指している。カード会社が選ぶ提携先には航空会社、通信会社、ホテルチェーン、スーパーマーケットなどがある。通常のクレジットカードが提供するキャッシュバック、ポイント交換、誕生日のプレゼントなどの一般的な特典と比較して、提携カードはより大きな特典やより特別なサービスを提供することが多い。

報道によれば、提携カードの衰退は、銀行のクレジットカード事業全体が縮小しているという厳しい現実を反映しているとされている。カード会社の主な収入源は、カード会員や加盟店からの手数料。カードの枚数や利用状況は、銀行の関連収入の増減に影響する。

中共中央銀行が発表した「2023年第3四半期における決済システム運用の全体状況」によると、2023年第3四半期末のクレジットカードおよびデビットカードの有効発行枚数は、前四半期比1%減の7億7900万枚で、4四半期連続で減少している。2022年第3四半期のカード発行枚数は8億700万枚だった。2022年末には7億9800万枚に減少し、2023年第1四半期には7億9100万枚、第2四半期には7億8600万枚となった。クレジットカードとデビットカードの有効発行枚数は4四半期連続で減少した。クレジットカードの枚数は1年間2800万枚も減少した。米中貿易戦争が始まる前の2017年が、中国クレジットカード発行数増加のピークだった。

クレジットカード離れが進んでいることは、多くの人が予想していたことだ。マスコミは「若者はもうクレジットカードを好まない」という報道がしばしばなされている。上海に住む1990年代生まれのメディア関係者、丁丁さんは「市界」の取材に対し、彼女と職場の仲間はほとんどクレジットカードを使わないと語った。「クレジットカードを作ると、自分がいくら使っているのかわからなくなるからだ」。 

丁丁さんは、同郷の同年代の友人は生活費を厳しく管理し、今でも現金で支払っていると話した。

複数の銀行の財務報告には、クレジットカードに関する苦情のデータが記されている。2022年、工商銀行のカードの発行枚数が全銀行中で最も多く、建設銀行が2位だった。同年、工商銀行に対する個人顧客からの苦情は約23万8400件に達した。業務の種類別でいうと、クレジットカード関連の業務に苦情が多く寄せられている。具体的には返済交渉、自動車の分割払いプラン、利息や手数料に関するトラブル、信用情報機関に「遅延情報」が記録されるなどが主な苦情の内容となっている。