中国でiPhone販売減 「ファーウェイを積極的に支援」=専門家

2024/03/31
更新: 2024/03/31

中国は以前からiPhoneにとって最も重要な海外市場の一つだったが、今年に入ってiPhoneの中国での出荷量が2か月連続で減少している。

一方で、中国本土ブランドのファーウェイの販売は増加傾向にある。専門家の分析では、これは中国共産党 (中共) 政府が市場に介入し、ファーウェイを積極的に支援していることが背景にある。

1月、中国におけるiPhone出荷台数は約550万台で、前年同期に比べて39%減少した。2月も出荷は減少する一方で、約240万台で前年同期比33%減となった。その一方で、iPhoneの最大のライバルであるファーウェイは販売台数を大きく伸ばし、iPhoneを抜いて中国市場でのシェア第1位のスマートフォンブランドに躍り出た。

当局の市場介入

この10年間で、中国はアメリカに次いでiPhoneの最も重要な販売市場となり、売上の約20%を占めている。では、なぜiPhoneの中国での売上が下がったのか? 

市場調査会社TechInsightsのシニアディレクターである隋倩氏は、中国での売上減少の最大の要因は貿易と技術分野における米中緊張が高まっていることにある。地政学的な圧力に大幅な緩和がない限り、iPhoneが中国市場での地位を保つのは難しく、米国企業であるアップルにとって、それは甚大な損失であると指摘している。

また、iPhoneの売上が下がった別の理由として、中共が公務員に対し、業務中にiPhoneと他の外国製スマートデバイスの使用を禁じたことが挙げられる。

昨年9月には、中共は中央政府機関の職員に対し、iPhoneを含む外国製デバイスの公務での使用や職場への持ち込みを禁じる警告を発した。当局は、これはデータセキュリティ管理を強化するための措置だと主張している。

また、国産半導体の生産を促進し、銀行やその他の国有企業に対して、米国製半導体を使用する製品や、マイクロソフトなどが提供するソフトウエアを国内製のものに切り替えるよう求めている。

世論は、中共が長い間ずっと米国製のソフトウェアやハードウェアを国産品に置き換えたかったと指摘している。今回の禁止措置はAppleの市場占有率に直接的な影響を与える可能性がある。

中共のデータセキュリティを強化するという主張について、サウスカロライナ大学エイキン校の謝田教授は大紀元のインタビューで、「その主張は根拠がない」と述べている。

謝氏は「Appleは中国の貴州にデータセンターを設置することに同意しているため、ユーザーデータは中国に保管されている。そのため、米国政府がAppleの技術を通じて中国の消費者データを取得する事態は起こり得ない。一方、中共はTikTokなどを使って西洋のユーザーデータを収集している」と指摘した。

「中共の市場介入は明らかだ。 ファーウェイは単なる民間の通信機器メーカーではない。国防に関連するすべての通信設備にも関わっているだろう。中共はファーウェイの倒産をどうしても阻止しなければならない。また、中共は一般製品で軍事通信設備の生産を支え、一般人向けのスマホの販売で軍事通信技術の開発と配備を支えたい。このような政治的理由がある。Appleを抑圧する目的は、ファーウェイを支援するためなのだ」

中国景気不況

経済の衰退とパンデミックを経験した中国の人々のiPhoneへの熱意は、かつてほどではなくなっている。

昨年9月にiPhone15が発売された際、中国では大きな騒動にならなかった。今年3月21日に、アジア最大のApple Storeである上海静安直営店がオープンし、約400人が列を作った。しかし、5年前のように人々が新製品の発売を待ちわびてテントを携え、Apple専門店の外で一晩中待っていた頃とは比較にならない。

河南省鄭州市の市民、方ユエ(仮名)氏は3月27日に大紀元に対し、「以前は、画質がとてもよかったので、みんながAppleのスマートフォンを好んだ。価格は少し高かったが、当時はお金も稼ぎやすかったし、誰もがAppleのスマートフォンを持ちたいと思っていた。しかし今は経済が低迷しており、iPhoneは依然として少し高価だし、政府によるiPhoneの規制も厳しく、一部の機関では使用が許可されない。そのため、現在私が使用しているのは国産のスマホだ」と語った。

張鐘元
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