台湾地震を大々的に報じる中国メディア 国民が反発

2024/04/05
更新: 2024/04/05

4月3日に発生したマグニチュード7強の台湾の花蓮の地震で9人が亡くなり、1038人が負傷したと中国共産党(中共)の官製メディアが積極的に報じている。しかし、中国本土の人々は、当局は中国国内の災害情報さえ国民に伝えないのにと皮肉っている。

台湾地震大々的に報道、中国の出来事を検閲

中共中央テレビは、台湾の地震についてのライブ配信を行い、福建省の多くの地域で強い地震の揺れを感じたと伝えていた。

また、中国地震台の公式SNSに「廈門のコミュニティ全体が外に避難した」との市民のコメントを引用し、上海、浙江省、江蘇省、江西省でも地震の揺れがあったと報じた。

中国の検索エンジン「百度」の公開情報によると、台湾は福建省から直線で約130キロ、上海からは約839キロ、浙江省からは約740キロ、省都の杭州市から台湾までは1千キロ以上離れている。

福建省廈門市の戴さんは、自宅は高層マンション10階にある。地震の揺れを感じたものの、「台湾では以前から地震が多いため、特に慌てることなく、家を出ることもなかった」と大紀元の記者に語った。また、自分の住む住宅エリアでは、官製メディアが報じるほどのパニックは起きていなかったとも述べた。

澎湃網は上海でも地震が感じられたと報じ、その理由について専門家に話を聞いた。専門家は、上海の地盤は柔らかい土層であるため、振動が増幅されるなどと述べている

しかし、上海市民の王さんは大紀元の記者に対し、「台湾の地震による揺れは感じず、周りの友人に聞いても誰も感じていない」と述べた。

上海市浦東区で働く李さんも大紀元に、「地震の時、すでに会社にいたが、何も感じなかった。私のオフィスは9階にあり、ビルは38階建てだ」と話している。

市中心部の高層ビルの10階に住む楊さんも、自分の住んでいる場所では揺れを感じなかったと述べ、メディアが上海での揺れについて専門家に取材することを「とんでもない」と評した。

王さんもこれに同意しており、「(中国)本土の地震に対してはこのような報道はしない。地震はもちろん、火事があっても直ちに警戒線を設け、事故があってもすぐにバリアを設置する。要するに、彼ら(中共)は何があっても一般市民に真実を知らせたくないのだ」と述べた。

今年の2月には、貴州省での山火事が数日間続き、広範囲にわたって拡大し、住民は非常に困難な状況に直面した。しかし、この問題については話題が検閲され、ソーシャルメディアは中共が仕掛けた「教員と学生の不倫」などのセンセーショナルなニュースであふれていた。

被害の小規模を嘆く中国人

花蓮で発生した地震は、死傷者数は比較的少ない。

台湾在住の秦さんは、今回の地震で最も印象的だったのは、マグニチュード7.7の地震にも関わらず、重大な損傷を受けた建物がわずか2棟で、死亡者数も少ないことだった。また台湾政府の迅速な対応と、中国本土のメディアがしばしば行うような政府の救助活動の茶番劇はなかった。

中共の公式メディアは、「政府職員や警察が救助活動にどれだけ参加しているかを繰り返し放送しているだけで、実際の災害状況については報道されていない」と批判した。

秦さんはまた、同じ規模の地震が中国本土で起きた場合、倒壊する建物がはるかに多くなるだろうと強調し、中国の建物の多くは耐震性が低いと指摘した。

王さんも、「中国の多くの大都市で建てられている家屋は、地震対策基準に従って建設されていないため、耐震性が低い。一般市民も自然災害や人災に対する知識が不足しており、このような大地震に遭遇した場合、被害はもっと大きくなるだろう。さらに、開発業者は建設を急いでいるため、建物の品質に問題があり、多くが粗悪な建築だ」と述べた。

花蓮市軒轅路にある8階建ての天王星ビルは傾いても倒れない。おから工事に苦しむ中国のネットユーザーからは、台湾の建築の「品質が良い」との称賛の声が上がっている。

ネットユーザーは今回台湾地震の被害と2008年に中国四川省で起きたマグニチュード8の大地震とを比較した。

「四川のマグニチュード8の地震では、街は廃墟と化した」、「どれほどの品質なのか。もし自分が住んでいる地域で、30階建ての住宅が同じ強度の地震に見舞われたらどうなるか」というコメントがたくさん寄せられている。

2008年5月12日、マグニチュード8.0の地震が四川省汶川市を襲った。中国共産党の公式データでは、この地震による死者6万9227人、負傷者37万4643人、行方不明者1万7923人とされている。

四川省出身者が海外で成立した民間組織「巴蜀同盟会」が行った調査によると、汶川での実際の死者数は約30万人、学生の死者数は3万人以上だった。地震地域の学校の建物の倒壊は非常に深刻だった。同盟会のメンバーである伏虎氏さんは、5千以上の学校の校舎が倒壊したと述べた。

同氏は、複雑な統計をしなくても、考えれば、誰でも公式発表よりはるかに高い数字を導き出せると指摘した。 

駱亜
中国語大紀元の記者、編集者。