William James David Brunnstrom
[ロンドン/ワシントン 8日 ロイター] – 米国、英国、オーストラリアは3カ国の安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」を通して日本と先端防衛技術分野で協力することを検討している。3カ国が8日、声明で明かにした。
関係筋は、岸田文雄首相が10日にワシントンでバイデン米大統領と会談する際、この件も取り上げられるとしている。
3カ国は声明で「日本の強みと、3カ国それぞれとの緊密な2国間防衛パートナーシップを認識し、先進技術を巡り日本と協力することを検討している」と表明した。
声明は英政府が発表。英国のシャップス国防相は、AUKUSのパートナーである米国とオーストラリアのほか、日本を含む他の国との今後の協力について年内に協議を開始すると明らかにした。
ただ、日本はサイバー防衛強化や秘密保持に関する規則厳格化が必要になることから、協力には課題が残ると政府関係者や専門家は指摘する。
AUKUSは中国の影響力拡大に対抗する取り組みの一環として3カ国が2021年に立ち上げた。
声明によると、「第1の柱」であるオーストラリアへの原子力潜水艦の配備については日本の参加は検討しておらず、協力の対象となるのは量子コンピューティング、海中での能力、極超音速、人工知能(AI)、サイバー技術などさまざまな分野における先進能力と技術共有に焦点を当てた「第2の柱」。
AUKUSは以前から第2の柱に他国を参加させる意向を明確にしており、「技術革新、資金調達、産業上の強み、機密データや情報を適切に保護する能力、インド太平洋地域の平和と安定の推進への影響力」などを考慮するという。
日本の林芳正官房長官は8日、AUKUSとの協力について決まっていることはないと述べた。
AUKUSの第2の柱は、英豪との技術の機密情報共有に対する米国の制限により、すでに逆風に直面している。
米国防総省の元高官ビル・グリーンウォルト氏は、日本の参加を議論するのは時期尚早だと指摘した。
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