中国で異常な金ブーム? 価格が上昇するほど売れる

2024/04/23
更新: 2024/04/23

金の価格が歴史的な高値を記録し、1オンスあたり2400ドル(約37万1115円)を超えた。世界最大の貴金属産出国であり消費国でもある中国では、金が上昇するほど購買者が増えている現象が見られる。

地政学的緊張が高まる中、イスラエル戦争、露ウクライナ戦争や、アメリカの金利低下の可能性が金への投資を魅力的にしている。

しかし、金価格の上昇を最も推進しているのは、個人投資家、投資ファンド、先物取引業者、そして中国人民銀行を含む中国の需要の増加だ。彼らは金を不確実な時代の価値を保つ手段と見なしている。

2023年、中国では宝飾品、金塊、金貨の消費が記録的な水準に達し、金のアクセサリー需要は10%増加した。一方、インドでは6%減少した。また、中国の金塊と金貨への投資は28%も急増している。

ブルームバーグは、香港のプレシャス・メタルズ・インサイト社の最高経営責任者、フィリップ・クラップウィック氏の話を引用し、中国の金需要にはまだ成長の余地があると報じた。

中国では投資の選択肢が限られており、不動産市場の低迷、株式市場の乱高下、そして人民元安が、より安全な資産へ投資するのである。

長年金取引に携わった劉暢氏(仮名)は4月10日、大紀元に対し、中国の混乱した状況下で、人々は「有事の金」に投資していると語った。 

中国経済は深刻な不況に陥っており、貯蓄金利も引き下げられ、投資や資産運用商品のデフォルトが相次いで起きている。

不動産市場、株式市場、雇用は軒並み低迷しいる。人々はパニックに陥っており、自分の財産を守りたいが、インフレ信用リスクに強い金に投資するしかないのだ。

中国の金輸入が急増

中国は金の輸入国であり、産出 国および消費国でもある。他国よりも毎年多くの金を採掘しているにもかかわらず、大量の輸入が必要だ。その輸入量は増え続けている。

過去2年間に、中国の海外からの金購入量は2800トンを超え、世界の金ETF(金相場に価格が連動するように運用される上場投資信託)が価値の裏付けとして保有する金現物の総量を上回った。また米連邦準備制度が保有する在庫の約三分の一にも相当する。

それでもさらに、最近になって金の輸入が急増している。2024年の第1四半期で、中国の輸入金量は前年比34%増加した。

中国の金市場、並外れた回復力

人民元安が買い手の購買力を弱め、金価格が高騰しているにもかかわらず、中国での需要は非常に強いままである。

主要な輸入国である中国の金購入者は、しばしば海外相場よりも高い相場で金を買わなければならない。 過去1年間、中国相場と海外金相場の差は1オンスあたり35ドル(約5401円)だったが、過去の平均的な差は1オンスあたりわずか7ドル(約1082円)だった。

中国金取引市場は、高ければ高いほど買われるという異常な回復力を見せている。

過去には、金価格が下落すると、中国の消費者は慌てて金を購入し、それが市場を押し上げた。これは金相場が低迷している時期には価格を落ち着かせるのに役立った。 今回はそうではなく、中国の購買意欲が金価格をさらに高騰させているのだ。

中共(中国共産党)中央銀行、17か月連続で金購入

しかし、北京は金市場の投機を敵視しているようだ。 上海金取引所と上海先物取引所は、過剰なリスクテイク(リスクに立ち向かうこと)を抑制するため、一部の取引で必要証拠金を引き上げた。

上海先物取引所の動きが、1日の取引高が5年ぶりの高水準に急増した後のことだ。

4月7日、中国の外貨管理局は、中国人民銀行が17か月連続で金の準備を増やしていると公表した。歴史上最も長い連続購入となっている。

一部のアナリストによれば、中央銀行は外貨準備をドルから分散させ、人民元安を回避したいのだという。

中共中央銀行は世界の中央銀行の中で最も積極的な買い手であり、2023年には記録的な水準に近い貴金属を購入し、2024年も高水準の購入が続くと予想されている。

林燕
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