中国 事実を発表する科学者を迫害する中共とは?

新型コロナウイルス配列を初公表した張永振氏のラボ閉鎖

 

中国のウイルス学者、張永振(ちょうえいしん)氏が、最初に新型コロナウイルスのゲノム配列を公表した功績で、2020年に科学誌「ネイチャー」から世界で最も影響力のある10人の科学者の一人に選出された。しかし最近、彼と彼の研究チームは、中国共産党(中共)当局者によって研究室を追われ、2日間研究所の外での野宿を強いられる事態になり、広く注目を浴びている。

情報によれば、4月28日夜から、張永振氏とチームは上海市公共衛生臨床中心(Shanghai Public Health Clinical Center)内の「華東(かとう)病原生物学研究所」入口で、2日間にわたり野宿しているとのこと。さらに、張永振氏の研究室周辺では、多数の警備員が監視している状況が報告されている。

4月29日、上海市公共衛生臨床中心は「張永振氏との契約は2022年10月に終了し、現在は人事や協力関係は存在しない」と述べ、張永振氏のチームには事前に、移転計画が通知されていたと説明した。

しかし、張永振氏は自らのSNSに長い投稿をし、2日以内の移転を求められている状況を明かした。彼は、新型コロナウイルスを含むいくつかの生物安全に関するプロジェクトを手がけており、急な移転は未知のリスクをもたらす可能性があるとして、その要求に異議を唱えている。

張永振氏はウイルス学の権威であり、彼の研究チームは2020年1月、新型コロナウイルスが世界に拡散し始めた初期に、ゲノム配列を世界で初めて公開した。その年の12月には、科学雑誌「ネイチャー」により、その年で最も影響力のある10人の科学者の一人に選出された。

最近、あるネットユーザーがXプラットフォームに投稿し、張永振教授が、学術研究の成果が中共の方針に合わないとされ、迫害を受けていると指摘した。その結果、関連する機関にとって扱いづらい「熱いジャガイモ(手の焼ける)」となったと述べている。

ユーザーは次のように分析している。張教授は世界で初めて新型コロナウイルスの遺伝子配列を公開し、その起源を解明する手掛かりを提供しただけでなく、国際社会がワクチン(特にRNAワクチン)の研究開発を進める基盤を作った。しかし、その行動が政府の怒りを買い(2020年当時、中国は疫病の事実を隠蔽しようとしていた)、張教授はすぐに「人気者」から「扱いづらい人物」へと立場が変わってしまった。

世界中で大流行している新型コロナウイルスは、「中共ウイルス」とも呼ばれ、最初に武漢で報告された。世界保健機関は何度もウイルスの起源について調査を試みたが、中共の干渉により、調査は非常に困難な状況だった。