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中国共産党、人気アプリを使い外国人データ収集

2024/05/04
更新: 2024/05/04

中国共産党は世界的に流行しているアプリを通じて外国人ユーザーのデータを集め、世界の情報エコシステムを変革し、海外での宣伝活動の影響力を増大させようとしているのである。

5月1日にオーストラリア戦略政策研究所(ASPI)が発表した報告書によると、中国共産党はデータ共有、メディア、ゲーム、人工知能、没入型技術(「拡張現実(AR)」「仮想現実(VR)」「複合現実(MR)」)などの分野での企業を、宣伝戦略に取り入れ、情報エコシステムを築いている。

同報告書では、中国共産党が国内外の情報環境に影響を及ぼし、それを管理し、支配しようとしていること、そしてその戦略が、従来の「メディアの管理」から「データの管理」へと変化していることを指摘。

報告書のタイトルは「中国独自の実態と事実:中国共産党のニュース宣伝活動を支えるシステムの要素」とされており、中央宣伝部や国家によって所有・管理される宣伝機関とデータ収集活動とのつながり、さらには世界市場で活動する中国のテクノロジー企業への投資に焦点を当てている。

報告書には、中国共産党が宣伝システムと情報活動において、戦略的に重要なデータを収集し、情報の流れをより一層コントロールしていると記していた。

Temuアプリのデータ収集活動

また、報告書は数千に及ぶ中国共産党の公式機関と中国企業(国有企業も含む)との関係を詳述しており、人気のある電子商取引プラットフォームTemuの親会社である拼多多(ピンドゥオドゥオ:PDD Holdings)にも言及している。拼多多の海外子会社であるWhaleco Technology LimitedがTemuを運営していた。

さらに、PDD HoldingsとTemuはデータ収集活動によって国際的な注目を集めていると、報告されている。

2023年3月、Googleは「悪意のある」ソフトウェアを発見したため、Google Playのアプリストアにおいて拼多多のサービスを一時的に停止した。同時に、AppleはTemuが以前にApple Storeのプライバシー規約に違反していた事実を公表していた。

Temuは消費者の好みや意思決定のパターンを含むデータを収集しており、これには利用者の地理的な情報も含まれている。

2024年4月時点で、TemuのアプリはGoogle Playで1億回を超えるダウンロード数を記録し、オーストラリア国内だけでも、120万人以上がこのショッピングアプリを利用している状況である。

報告書によると、「国家機関がTemuのeコマースプラットフォームを通じて、世界中の利用者データにアクセスし、それを活用することで、海外でのより効果的な宣伝や情報戦略を展開し、特定の国や地域をターゲットにすることが可能になった」とのことだ。

さらに、報告書によると、世界中の政府がTikTokに伴うリスクを減らす努力をしており、多くの国では公式のデバイスでのTikTokの使用が禁止されている状況が明らかにされている。しかし、このような個別の措置は、情報技術の分野で中国共産党の影響力が、増していることを見過ごす危険があると警告している。

報告書は、特定のプラットフォームの問題だけに焦点を当てることは、政策立案者が中国共産党の宣伝戦略や技術的な投資によって生じるより広範な問題を、完全に理解していないことを示してた。

さらに、報告書は豪州政府に対して、テクノロジー企業への圧力を強め、ユーザーデータの使用に関する監視を厳しくすることを勧めている。また、中国共産党が運営する宣伝機関と関連のある組織については、外国代理人登録法に基づいて登録することを検討するべきだと、提案している。

李睿
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