今月20日、中国の湖南省と江西省で同じ日に、市民が刃物で切りつけられる事件が2件発生し、少なくとも5人が死亡、12人が負傷した。
20日夜、湖南省郴(チン)州市にある公園でナイフによる切りつけ事件が発生した。当局の発表では3人死亡、2人負傷となっているが、ネット上には「十数人が切りつけられた」とする情報もあがっている。
同じ日、江西省貴渓市の小学校でも、児童らが無差別に切りつけられる事件が発生した。
果物ナイフを持った女(45歳)が児童らを次々と切りつけ、2人が死亡し、10人が負傷したと発表している。容疑者について「この学校の教師の家族だ」とするネット情報があがっている。
2件の事件の容疑者はいずれも現地警察によって身柄を拘束した。
これらの事件の関連話題は中国SNSでトレンド入りし、「なぜこんな世の中になってしまったのか」と嘆く声が広がっている。
(2024年5月20日、江西省貴渓市の小学校で発生した無差別殺傷事件の現場)
邪気が充満する社会
近年、中国各地で社会への報復を動機とする凶悪事件が頻発している。その背景には「最近の中国の政治・経済情勢の深刻な悪化や失業ブームがもたらす社会全体に充満する邪気がある」と多くのアナリストは分析している。
過去3か月以内に起きた凶悪事件の一部を以下に列挙する。「似たような事件は中国で毎日起きている、ただ報道されていないだけだ」とする指摘の声も上がっており、氷山の一角でしかないようだ。
5月7日、雲南省昭通市鎮雄県の病院で、ナイフによる殺傷事件が発生し、2人が死亡、21人が負傷。
4月8日には、湖南省永州市の学校で、元教師による刃物を使った傷害事件が起き、教員3人が負傷。
また4月7日、山東省済南市にある山東交通学院(国立大学)で学生がナイフを使って教師を殺害する殺人事件が発生。
3月22日、江蘇省宿遷市沭(ジュ)陽県では、13歳の少年が16歳未満の少年を刺殺している。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。