オピニオン 始めての生活水準の低下? アメリカの価値観は変わるのか? 

生活水準低下 Z世代は「ゼロ世代」となるのか?

2024/06/01
更新: 2024/06/01

Z世代(1990年代後半から2010年生まれの10代から20代前半の若者のことを指す)はミレニアル世代(誕生年が1981年以降で2000年代で成人または、社会人となる世代)と比べて、収入は減少し、負債は増えている。この状況を好転させることはできるのか?

より上のミレニアル世代、X世代、さらにはベビーブーマーの世代と比較したとき、Z世代は人々の記憶の限り、はじめて生活水準の低下という危険にさらされている。これは異例の事態で、悲しむべき可能性だ。良い知らせは、彼らが「ゼロ世代」となる場合はそれを防げること、悪い知らせは、仮に状況が変わらなければ、Z世代はこれより前の世代よりも低い生活水準に苦しみ続けるということだ。

世代を重ねるたびに向上する生活水準

アメリカの親世代は、長らく「子供の世代はさらに良いものとなるだろう」という考えを持ってきた。世代交代を経た結果、それはただ信じられていただけのものではなく、裏付け可能な事実だった。

なぜ、我々の曾祖父母、祖父母、両親たちはアメリカ流の生活に自信を持っていたのか。その根本には、アメリカ人は、自分自身と生活をより豊かにできるという信念があった。勤労、倹約、土地や住宅所有への投資、技術、株式市場、起業を通じた自己投資などは、豊かな未来を実現する手段となった。

事実、これらの要素、とくに将来的に成長し大企業になる可能性のある小規模ビジネスが、アメリカの中間層をつくりだした。中間層は経済のパイを大きくしただけでなく、経済層の低い人々と同様に、そのパイを分け合った。アメリカの経済生活はダイナミックだった。0からスタートして、あるいは英語が話せない一文無しの移民が、マイナスからスタートしたとしても、成功するチャンスがあった。

その一方で、富を得た者が破産することもある。これまでも、またこれからもそれは続くだろう。経済レベルは上がったり下がったりする。それがアメリカというところだ。

アメリカンスタイルは今でも通用する それが許される限り

自由度の低い国や独裁国家から来た移民たちは、アメリカの成功は、憲法が一人一人に保障した権利によって促されたのだということを認識していた(今でも、少なくとも合法移民たちはそう認識している)。言い換えれば、テクノロジーであれ、経済、社会であれ、アメリカにおいて成長というものは、程度の差こそあれ、すでに与えられたものだということだ。

成長は何度か、南北戦争、世界恐慌、二度の大戦、金融恐慌といったできごとに妨げられたにすぎず、それらは比較的短い時間で過ぎ去った。「Can-do(できる)」という姿勢をアイデンティティにもつアメリカは、全ての側面において急速な成長を続けた。人々はこの国をそう信じてきた。

彼ら(Z世代)はなぜそう考えなかったのだろう?

二世紀半にわたって、それは本当だった。生活の質、技術革新、機会といった面において、どの世代も前の世代を上回った。

これらの理念や行動は、今日でも依然として価値を失ってはいないが、他方で、経済的、政治的、社会的に深刻な負の要素に直面しているのだ。

Z世代が直面する三つのファクター

Z世代の状況と未来、すなわちこの国の未来を正しい方向へと導くにはどうすればよいのか。

一つ目、かつ最も重要な要素は、信念だ。あまりにも多くのZ世代たちが、自分自身、あるいは、世界で最も高い生活水準を与えてくれた社会を、信じることができていない。すべてのものが手の届く範囲にある一方、Z世代たちはあまねく広がる社会文化や教育の影響を受けて、自分たちは堕落した国に住んでおり、政府の支援がない限り成功することはできない、と教わってきた。

Z世代は、上の世代がもっていた信念と同じものを、彼ら自身および社会に対して持つ必要がある。自分や社会を信じることができなければ、努力して勤勉に働き、自分を磨こうとするモチベーションは生まれにくい。

二つ目の要素は、大人がもつべき理性の欠如だ。Z世代の多くが広い視野を手に入れた一方で、同時に身につけた非理性的な考えが、まともな大人への成長を阻害している。要因に、テクノロジーとデジタルが与えた社会的影響がある。

テクノロジーの側面においては、若い技術系労働者の理想と現実の労働状況が一致しない。みなが有名人になり、22歳でマイハウスを持ち、リモートワークをして、一年に1〜2か月の長期休暇を取れるわけではない。

現実は、ほとんどの仕事が9時出勤、5時退社で、最も成功した社長たちの多くがそこからスタートした。例えば、ジェフ・ベゾス氏(Amazon.comの生みの親)はマクドナルドで働いたことがあり、イーロン・マスク氏はアパートより安いからとレンタルオフィスで寝泊まりし、YMCA(キリスト教青年会)の施設でシャワーを浴びていた過去がある。同じような例は他にもたくさんある。

もう一方の極端な例として、大学のキャンパスで「大人になる」ためのクラスを開講し、従業員の生活イメージを紹介するハイテク企業もある。給料は高く、ライドシェア(自動車を相乗りすること)でどこへでも行ける。食事はデリバリーで、買い物や人との交流はオンラインで行う。大人が負うような責任はほとんど回避できる、そう教えるのだ。ほとんどのZ世代には当てはまらないものだが、それでも多くは、自分がそのような生活や労働を享受するに見合うと考えている。

三つ目の要素は連邦政府の政策に関係する。赤字支出、高い税率、複雑な規制などはインフレを加速させている。こうした要素はそれ自体で起業を難しくしている。また、経済的に大打撃を与えたコロナ禍におけるロックダウンは、小規模ビジネスの5分の1を潰すことになった。政府は補助金をばらまき、多くのZ世代から勤勉に働くモチベーションを奪い去った。

最後に、インフレに伴う金利の上昇は、Z世代の住宅購入を難しくした。また、2〜3%の住宅ローン金利で家を購入したミレニアム世代やX世代(1965~79年生まれ)の多くに、家を買い替えて新しく7%の金利を支払う余裕はない。したがって、在庫が少ない中、住宅価格は高止まりしている。

Z世代がのし上がるための処方箋

Z世代、そしてアメリカが再び成長していくためには何が必要か。いくつか提案をしたい。

一つ目は、創業特区を国中の各都市につくり、税率を0か0に限りなく近く設定すること。法人税の引き上げは、価格上昇や企業の国外移転を招く。そうではなく、企業が金利0円ローンや起業家に対する補助金を提供する場合の税額控除を定めるべきだろう。

もう一つは、企業に対してZ世代に見習いのようなポジションを与えるよう促すことだ。その場合、高い学費を払って大学を出る必要がなくなる。

最後は住宅に関して、住宅の供給量を増やすために、住宅ローン保持者が、同程度かそれ以上の価値を条件に、新しい住宅にローンを移行できるよう認めてはどうか。

現在の混乱は、連邦政府が主な元凶だ。今こそ、仕事やビジネス、雇用を妨げるのではなく、奨励すべき時だ。

この記事に記載されている見解は筆者の意見であり、The Epoch Timesの見解を必ずしも反映するものではありません。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。