中国のインターネット言語空間が急速に崩壊か?

2024/06/01
更新: 2024/06/01

中国国内のセルフメディア運営者によると、かつて人気のあったいくつかの中国語ウェブサイト上で、特定の時期以前の情報が全て削除されている。彼は、「スマートフォン普及前の中国語インターネット情報は、ほとんど消失してしまった」と述べている。

5月22日には、「中国語インターネットが急激に崩壊している」と題した記事がオンラインで注目を集めた。

記事の著者「何加鹽」は、「百度(バイドゥ)で『ジャック・マー』を検索し、1998年から2005年の情報を探した場合、どれほどの検索結果が出るだろうか?1億件、1000万件、それとも100万件?」と問いかけている。

「何加鹽」が実際に検索した結果、驚くべきことに1件のみが見つかり、それも偽の情報で2021年の記事だった。彼が求めていた時期のものではなかった。これは、2000年頃のビジネス界の巨人、ジャック・マーに関する簡体字中国語の情報がほとんどないことを示している。

「何加鹽」は、他の検索エンジンでも調査したが、百度での情報と大差なく、わずかに多い程度で、その差は10件以下だった。時系列が混在する無関係な情報も多く、ジャック・マーだけでなく、他の有名企業家や、当時のインターネットセレブリティ、人気スターについても同様の結果が得られた。

「何加鹽」は衝撃的な結論に達した。その時代に人気のあった中国語のウェブサイトから、特定の年度以前の情報がすべて消え、場合によっては全年度のデータも失われている。「中国語のインターネットは急速に衰退し、スマートフォン普及前のコンテンツはほぼ完全に消失した」と彼は述べている。

この事態が発生した理由は何か? 彼は、主に二つの理由を挙げている。1つ目は経済的な問題、すなわちウェブサイト運営会社の資金不足だ。2つ目は監視体制の強化により、以前許可されていたコンテンツが、後に不適切と判断され削除されたことだ。

オーストラリア在住の歴史学者、李元華氏は「経済的な理由でウェブサイトが閉鎖されることは仕方ないが、インターネット上で情報が大量に系統的に消される現象は、単なる経済問題ではない。実際、中共の検閲により、敏感な言葉が系統的にフィルタリングされ、歴史的記録が海に沈むように消えている」と述べている。

李氏は、失われているのは歴史情報だけではないと強調している。

さらに、李元華氏は、「最新の経済データからも、中国の実情を示す数値は公開されていない。以前公開されていたデータも今は公開されず、新型コロナや失業率のデータも公開されていない。これは、中共が大きな不安を抱え、国内の実情が外部に漏れることを恐れているため、あらゆるデータを隠しているからだ」と言う。

元北京の弁護士、賴建平氏は、中国語のインターネットコンテンツが消失するだけでなく、中共の検閲によって情報の表現が歪められていると指摘している。

賴建平氏は「政治的圧力の増加により、インターネット上で、自由に意見を表現することが難しくなっている。何かを述べる際、たとえそれが普通のことであっても、誤字や図形、記号、ジェスチャー、表情など、奇妙な方法で基本的な意味を伝える必要があり、正常なコミュニケーションが取れない状況を示している」と述べた。

古代中国の人々は、「文章は道を伝える手段であり、詩は志を表す手段だ」と考えていたが、現在の中国のインターネット上のテキストや情報は、急速にその機能を失い、自由な思考や歴史の真実を伝える力を失っている。

賴建平氏は、「多くの歴史的資料、特に共産党が政権を握った後のものが、最近見られなくなっている」と述べている。

共産党は「今を生きる」という理念を推進し、それを党だけでなく、国家や国民にも浸透させようとしている。彼は、共産党が、歴史を忘れさせ、過去を消し去り、中国人の意識を空にし、インターネットを現在の権威主義的な政治に仕える道具に変えようとしていると指摘している。

「何加鹽」は、「将来の文明がインターネットを基盤とするなら、私たちの世代は歴史に名を残せないかもしれない。なぜなら、インターネットは私たちの痕跡を保存してくれないからだ」と述べた。