アメリカ社会 中国製太陽光パネルは自然発火の可能性?!

モハーベ砂漠の太陽光発電所、何千本ものジョシュアツリーを消滅させる

2024/06/07
更新: 2024/06/07

カリフォルニア州に本社を構える企業が、モハーベ砂漠太陽光発電所を建設する計画を立てている。この計画には、2300エーカー(約931ヘクタール)に及ぶプロジェクト敷地の一部から、保護されている数千本のジョシュアツリーを伐採する作業が含まれる。

アバンタス社は声明で、東カーン郡のボロン地区とデザートレイク地区で太陽光プロジェクトを進める予定だと明かした。この地域はモハーベ砂漠ガメやジリス(地栗鼠)など20種の保護対象野生生物の生息地であり推定8万エーカーの西ジョシュアツリーの生息地がある。

このプロジェクトの公式サイトによると、同プロジェクトは、最終的には最大530メガワットの太陽光発電能力を有し、約42万世帯に同時に電力を供給できる。最大600メガワットのバッテリー蓄電システムを装備しており、48万世帯に電力を供給できるという。

「アラティナ」と名付けられたこのプロジェクトは、2021年にカーン郡の監督委員会によって承認された。しかし、その後、建設によるほこりの増加や、地元の野生生物、特に絶滅危惧種の砂漠ガメへの影響を懸念する住民の間で、反発が起きている。

同年、郡の監督委員会とカリフォルニア州魚類野生生物局は、樹木の伐採を承認した。伐採開始時期について同社にコメントを求めたところ、返答はなかった。

このプロジェクトは、カリフォルニア州が進めるクリーンエネルギーの大規模な拡張と、それに伴う環境への悪影響についての、高まっている論争の一部だ。

ボロン中高等学校のデリック・イングリッシュ教員は、2023年に「グリーンエネルギー」の取り組みが生物多様性や人の健康、環境正義にどのような影響を与えているかを検証する研究を共同執筆した。

研究によれば、この開発は住民全員に平等な恩恵をもたらしているわけではなく、特に、カーン郡は大気汚染の増加、バレーフィーバー症(バレー熱は、コクシジオイデスと呼ばれる真菌またはカビによって引き起こされる病気)例の増加、そして独特な野生生物を含む手つかずの砂漠の生態系の喪失に直面している。

6月4日、イングリッシュ教員は大紀元へのメールでこのように述べている。

「私たちは郡の境界線近くの小さな田舎町で、政治的影響力はほとんどない。景色の良い砂漠の眺めが損なわれ、動植物の生息地が破壊され、そして土が掘り返されることで空中に舞い上がるコクシジオイデス菌(半乾燥地域の風土病で、渓谷熱、砂漠リューマチ(desert rheumatism)あるいは砂漠熱(desert fever)とも呼ばれている)の存在が非常に心配だ」

イングリッシュ氏は、太陽光発電プロジェクトが、地域社会の将来の発展に悪影響を与えるとも述べた。

同氏は「私たちの地域は北側に大規模なホウ砂鉱山、南側にエドワーズ空軍基地に囲まれている。太陽光発電プロジェクトが完成すれば、開発できる土地はほとんど残らないだろう」と指摘した。

このプロジェクトを進めている企業によれば、フル稼働すれば発電量は18万世帯に常時電力を供給するのに十分な量になるという。ただし、この電力は地元ではなく、州内の他の地域に供給されるため、地元住民からはさらなる懸念の声が上がっている。

「発電量は18万世帯に常時電力を供給するのに十分な量になるという」とイングリッシュ氏は述べた。

この種のプロジェクトが、野生動植物に悪影響を与えるかどうかについては議論があるが、アバンタス社は、ジョシュアツリーの伐採が環境にとってプラスになると主張している。

ジョシュアツリー国立公園画像

アバンタス社の公式サイトには「建設中は木々に影響が出るが、気候変動による温室効果ガスの増加が原因で、より多くのジョシュアツリーが脅威にさらされている。アラティナソーラープロジェクトはこの問題に直接取り組んでいる」と記載されている。

同社は、このプロジェクトが年間約86万トンの炭素排出を削減することになり、これは1400万本の樹木を植えることと同等の効果があるとしている。

プロジェクトに関する環境影響評価報告書によると、敷地内には約4700本のジョシュアツリーがあり、中には100年近い歴史を持つものもあるという。

昨年、カリフォルニア州議会は、気候変動から特定の種を守るための法律として「ウェスタンジョシュアツリー保護法」を成立させた。

同法は、開発者が伐採できるジョシュアツリーの数に制限を設け、伐採する木1本ごとに料金を課す。ただし、新たな生息地を復元し、取得することで、損害を緩和する場合はこの料金は免除される。小規模なプロジェクトについては、地方自治体が料金を減額することも可能。

この法律に基づき、アバンタス社は、アバンタス社1エーカーあたり約1万ドル(約155万 円)の環境保護料を支払う必要がある。このお金は州がジョシュアツリーを再植樹し、生息地を保全し、保護区用の新しい土地を購入するために使用されるという。

昨年、州議会議員フアン・カリロ氏(民主党)は、大規模な商業プロジェクトにも同様の要件を適用する法案、州議会法案2443を提案した。この法案は現在、州上院の委員会で審議中である。

アバンタス社はこれまで地元の野生生物を保護しており、シエラクラブ、オーデュボン・カリフォルニア、野生生物保護協会、天然資源保護協議会など、さまざまな環境保護団体から称賛されていると主張している。

同社はウェブサイト上の声明で「当社は、絶滅の危機に瀕した種への潜在的な影響を回避または最小限に抑えるようにプロジェクトを計画し、必要に応じて適切な環境保全措置を講じるよう努める」と述べた。

同社は、建設労働者や周辺地域への潜在的な影響を軽減するため、プロジェクトの建設期間中、粉塵抑制対策を実施すると付け加えた。

同社はまた、このプロジェクトがもたらす労働および経済的利益をアピールしている。建設段階で約570の雇用機会創出と、長期的には約10人のフルタイムの雇用創出が含まれる。さらに、このプロジェクトは存続期間中に3千万ドル以上の地方税収が見込まれている。

 

Sophie Li
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