中共、高官出国を厳しく規制 3つの原因分析

2024/06/11
更新: 2024/06/11

中国共産党(中共)は、国民の海外旅行に関する規制をさらに強化している。

最新の報道によれば、特に共産党の幹部や国営企業のトップに対する出国を厳しくチェックしており、「局長」クラス以上の地位にある人々には、出国禁止の永久的な制限が課されているとのことだ。

6月6日にサウスチャイナ・モーニング・ポストは、中共が公務員の海外旅行に対する規制を強化し、これが国営企業、国有銀行、大学、病院の高官にも適用されていると報じた。

規制の対象者は、パスポートを提出し、出国には申請が必要とされている。さらに、中共内の「局長」クラス以上の地位にある人々には、退職後も出国が永久に制限されている。

オーストラリアの歴史学者である李元華氏は、中共が高官と国営企業のトップの出国を制限する理由として、3つのポイントを挙げている。

李元華氏は「まず第一に、公務員には汚職がつきものだ。汚職で得た資金がすでに海外に移され、その後に当人が逃亡すると、国際手配しても、捕まえるのが非常に難しくなる。表面上は汚職防止策とされているが、実際には彼らに対する深い疑念が背景にある」と見解を述べた。

中共の汚職に手を染めた官僚や国営企業のトップが巨額の資金を不正に持ち逃げするケースは昔から報告されている。今年の5月には、中国の経済学者である盧麒元氏が、中国からの資金流出総額は、最低でも3兆ドル(約471兆円)に達するとの見解を示した。

李元華氏は次のように語っている。

「多くの人が中共の終焉を目の当たりにし、沈没する運命にある船から離れようとしている。中には中共から以前、恩恵を受けた人たちもいるが、彼らは沈む船を離れ、自由世界で平穏な余生を望んでいる。しかし、中共は全ての人を沈む船に留め置き、運命を共にするよう強制している」

中共が官僚たちの自由な外国への渡航を恐れる第2の理由は、彼らが異なる真実に触れることで、洗脳が解けることを危惧しているからだ。

李元華氏は、さらに次のように述べた。

「これらの官僚は、中共のプロパガンダに影響されているが、彼らが自由に海外を訪れることができれば、中共の影響力が弱まる可能性がある。そのため中共は、彼らの思想をコントロールしようと、海外渡航を厳しく制限しているのだ」

第3の理由として、中共が抱える外貨準備の不足が挙げられる。この状況を受け、中国国民は海外での支出を控えるよう促され、また海外旅行にも制限がかけられている。

李元華氏によると、「外貨の供給はもともと限られており、加えて汚職による資金の流出や腐敗が広がっている。その結果、市民が海外旅行で外貨を大量に消費することに対する懸念がある。さらに、国の財政が逼迫している可能性もあり、国民による海外での消費は望まれていない」と述べている。

中共は長年、反政府勢力に対する規制を強化してきた。民主活動家の耿紅軍氏は、ビザを持っていたにも関わらず出国が許されず、しかし昨年、秘密裏にルートを変更して米国に亡命することに成功した。

耿紅軍氏は次のように語っている。

「通常の方法で、出国を2度試みた際、税関で阻止された。結局、雲南省からラオス経由での出国に成功した」

また、アナウンサー劉子鑰氏の夫は民主運動への参加が原因で迫害を受けたが、彼らも秘密のルートを通じて米国へ亡命した。

劉子鑰氏は、「友人は夫の問題よりもさらに小さなトラブルに巻き込まれました。彼女は一晩のみ拘束された後、出国しようとしたが、送り返され、以後の出入国が禁止されてしまった。私たちは身分証を提示せずに国境を越えたので、幸いにも当局からの追跡を免れた」と語っている。