大統領補佐官、中ロ脅威下で米国核兵器配備拡大の可能性示唆

2024/06/10
更新: 2024/06/10

米大統領特別補佐官は、中国とロシアの攻勢が増す中で、バイデン政権は追加の核兵器の配備を検討する可能性があると述べた。

ホワイトハウス国家安全保障会議(National Security Council・NSC)の軍備管理トップであるプラナイ・バディ(Pranay Vaddi)氏は、核ミサイルの配備数を拡大することは数十年間のアメリカの政策に反するが、大国間の競争が激化する時代には必要かもしれないと語った。

バディ氏は6月7日の軍備管理協会の会議で「敵の核兵器の変化がない限り、今後数年間で配備数の増加が必要となる段階に達するかもしれない」と述べた。

「その日が来れば、我々の敵を抑止し、アメリカ国民および同盟国、パートナーを保護するために、さらに多くの核兵器が必要と判断するだろう」

バディ氏の発言は、昨年末にアメリカ戦略態勢に関する議会委員会が発表した報告書の後に出たものである。この報告書は中国とロシアの侵略の激化を抑止するため、米国が核兵器の増強と近代化を行うよう勧告している

報告書には「現在の脅威の動向を考えると、我が国はまもなく、これまでに経験したことのない根本的に異なる世界に直面するだろう。2つの国が我が国と同等の核兵器庫を保有する世界だ」と記されている。

報告書を執筆した戦略態勢委員会のマデリン・クリードン委員も、6月7日の会議で講演した。

同氏は、中国とロシアは核戦力と通常戦力の近代化に向けて「非常に積極的な道を歩んでいる」と述べ、これに対抗する必要があると語った。

「これは非常に重要だ。なぜなら、ロシアと中国が、長期的にルールに基づく国際秩序のリーダーとしての米国に、取って代わろうとしていることは明らかだ。彼らの目標は、米国と西側諸国を、彼らの権威主義体制に都合の良いものに置き換えることだ」

米国は現在、2010年にロシアと締結した新START条約に従い、配備される戦略核弾頭の数を1550発に制限している。ロシアは昨年、条約への参加を「中断」したが、米国はこれを「法的に無効」としている。

一方で、中共は急速に核兵器の備蓄を増加させている。国防総省の予測によれば、2030年までに1千発以上の核弾頭を保有する見込みだ。そのため、中共はすでに長距離ミサイル発射装置の数においてアメリカを上回っている

世界の三大核保有国が国際舞台での政治的影響力を競り合う中で、クリードン氏は、世界的な核紛争が起こるとすれば、制御不能に陥った地域紛争が発端となる可能性が高いと指摘した。

しかし、米国が核兵器の保有量を増やすべきだという考えは普遍的ではない。

会議の午前のセッションで基調講演を行ったジョン・ガラメンディ下院議員は、アメリカは既に「敵対者を破壊するに十分な火力」を有すると述べ、代わりに「軍備管理と緊張緩和」を優先すべきだと主張した。

ガラメンディ議員は「核兵器の議論において、抑制とリスク削減の声が聞かれるべき時はとうに過ぎている」と述べた。

「私たち社会全体がどのようなコストを負担すべきか、どのようなリスクを取るべきかを決定しなければならない。私たちの核戦略は、抑止力と防御行動を許容しつつ、より平和な未来に向けた協力を促進するために、バランスが取れ、理性的でなければならない」

 

エポックタイムズ特派員。専門は安全保障と軍事。ノリッジ大学で軍事史の修士号を取得。
関連特集: 米国