アメリカ社会 歌にもなったあの美しい坂の町で

カリフォルニアの新たなホームレス アメリカンドリームから貧困と暴政へ(上)

2024/06/12
更新: 2024/06/12

論評

かつて経済的な機会と自由の豊かな州だったカリフォルニア州は、今や国内で最も貧しい州となり、アメリカで最も自由度の低い州の1つとなっている。(ニューヨークと競い合う圧政)

その理由は何だろうか? カリフォルニア州では、私有住宅、家族と車、高速道路、自由に対する全面的な攻撃が行われており、数百万人のカリフォルニア住民を自由から依存型、さらには専制政治へと追いやっている。

カリフォルニア州の権威主義的な法律は、人々を家族と車、自宅を安全と自由から、コンクリートの高層マンション、公共住宅、公共交通機関、そして最終的にはホームレスに追い込むために絶え間なく働いている。

2023から2024年までの間、「手頃な」住宅に対処するためとする一連の法案が可決され、署名された。しかし、これらの法案は、実際には他の名前で高価な税金補助の公共住宅を推進するものだった。自由市場での一戸建て住宅供給の増加は全く見られなかった。カリフォルニア州でアメリカンドリームが繁栄し続ける見込みは消えたようだ。

カリフォルニアはどのようにして今の状況に至ったのか?

それは長い道のりであり、長い年月を要した。

始まりは良く、終わりが悪かった。

かつてのカリフォニア

かつて、鯨、家畜、金、木材から技術まで、カリフォルニア州は富の灯台として常に新しい移民を新たな機会で歓迎していた。

数百年にわたり、スペイン人、メキシコ人、アメリカ人が南や東からカリフォルニア州に経済的機会と社会的平等、さらには日光と温暖な冬を求めてやってきた。

第二次世界大戦後、GIビル(退役軍人援助法)にもとづき、「先見の明」のある人々が手頃な住宅ローンで、中西部や東海岸といった快適とは言えない土地や固定した狭小な文化から移転してきた帰還兵のために、新しい住宅地を建設した。しかし皮肉屋たちは、そこに住む「嘆かわしい」人々から囲炉裏や家の楽しみを奪う「チクタク(時計の音のように決まりきった)」なトラクト住宅(業者が同じでパターン化した団地住宅)を揶揄した。

超党派の「先見の明」のある人々は、高速道路を建設し住宅地を職場に迅速に結びつけた。

家や車、仕事を手に入れようとする向上心のある人々の動きを止めるのに数十年がかかった。

やがて、カリフォルニアは一世代でブルーカラー(肉体労働)社会からホワイトカラー(事務職)社会へ、そして最終的には無職の社会へと変わった。広範な繁栄から、住宅とエネルギーの供給に関して全国で最も貧しい状態になった。

実際に何を修正する必要があるのか?

住宅不足

カリフォルニア公共政策研究所(PPIC)のハンス・ジョンソン氏によると、カリフォルニア州では人口4千万人に対して350万戸の住宅が不足しているという。

2023年9月、オレンジカウンティ・レジスター紙は、カリフォルニア州の主要都市や都市圏で80万戸以上の住宅不足であると報じた。この6.5%にものぼる住宅不足は、全国平均の2倍に当たる。

2024年の住宅価格の中央値のは90万ドル(約1億4千万円)に達し、カリフォルニアの「若者(40〜50歳の人々を含む)」は、わずかに残っている住宅を購入することができなかった。賃貸でも安泰ではない。小さなアパートの家賃でも、ほとんどの人が申請できな巨額の住宅ローンの返済額よりも高いことが多い。

2023年から2024年にかけて、市場価格以下の住宅(BMR・Below Market Rate)住宅を設立する法案が提出され、同法は家賃統制とも呼ばれている。

数十年間にわたり、家賃統制や立ち退き制限が、カリフォルニアの民間アパート建設を妨げてきた。その結果、労働組合が高い費用で建設を行ない、古い車や親の寝室で暮らす数百万人もの人々に、手頃な価格の住宅を必要とするサービスを提供してきた。

ホームレス問題

精神疾患、病気、薬物依存症だけでなく、長年にわたる住宅建設の実質的な停止も、屋外で暮らすホームレスが暴力的な死を遂げる原因となった一因である。彼らは人間の攻撃者のみならず、中世からの病気(ノミ・シラミ)にも晒されている。

カリフォルニア州のホームレス問題は、薬物依存者や精神疾患患者、病気にかかった人々、貧困層だけにとどまらない。それはあなたや隣人の玄関先まで及んでいる。

新しいホームレスのカリフォルニア人、ようこそ──彼らは古い車や荒れ果てたトレーラーパーク、天井の高いコンクリートの箱型アパート、お母さんの余った寝室、備え付けの家具があるガレージ、あるいは小さな屋根がかかった裏庭に、子供や孫と共に生活している。

一方、ホテルの部屋は不法移民に提供している。我々の子供や退役軍人は申請出来ません。

次は誰か?

プロポジション13(提案13号)の固定資産、固定資産税の年間増加額が制限されれば、祖父母は子孫たちと同じく社会の片隅に追いやられなかったかもしれない。カリフォルニア州のホームレスのほぼ半数は50歳以上である。

高齢者にとっては難しいことだが、カリフォルニア州からあまり快適でない暑い砂漠や蒸し暑い州へ逃れることができる人々は、そうしている。脱出者が残した空室は、手頃な価格の住宅不足の解決にほとんど寄与することはない。

2020年の国勢調査では、カリフォルニア州の相対的な人口減少が起きている。これにより、アメリカ議会での代表人数が初めて減少した。

人々はどうすれば家族と家に住み続けられるのか?

最も手頃な価格の住宅は、仕事場から何マイルも何時間も離れた場所にある。

通勤マラソン

数千人のカリフォルニア州民が、サンバーナーディーノのリバーサイドやセントラルバレーの遠方の郊外の手頃な住宅から、ロサンゼルスやサンフランシスコのサンノゼの都市部の職場まで、何時間も運転して通勤している。

彼らは、セントラルバレーからベイエリアまで1日に2~3時間かけて通勤している。8万人が、サンホアキン郡とベイエリア間をアルタモント峠を越えて通勤しているのだ。75%の人が、サンノゼ、フリーモント、プレザントンまで1人で車を運転して通勤している。公共交通機関のバスまたは電車を利用しているのは2.5~3%で、ほとんど誰も利用していない。

続く

カリフォルニアの新たなホームレス:アメリカンドリームから貧困と暴政へ(下)

Roger Canfieldは、米国内での中国の政治的影響力と諜報活動に関する本を4冊執筆しています。海軍の退役軍人で、クレアモント大学院大学で政治学の学士号と行政学の博士号を取得している。米国議会の共和党候補に2度立候補した。 Roger Canfieldの本は、 https ://www.amazon.com/author/rogercanfield で入手できます。