中東・アフリカ 遠いアフリカで赤い嘘をまき散らす中共

【プレミアム報道】中共、アフリカメディアへ統制強め、反米プロパガンダ推進(2)

2024/06/18
更新: 2024/06/18

前編から続く

 一方、VOA(Voice Of America)はアフリカ大陸に1つの支局しか残っていない。VOAの上級スタッフが大紀元に「5年前には5つの支局があり、それぞれアフリカの異なる地域をカバーしていた」と語った。

「ヨハネスブルグには南部アフリカの支局、ダカール(セネガル)には西アフリカの支局があった。それに加え、アフリカの主要都市の多くに支局があり、ストリンガー(フリーランサー)を常に雇っていた。しかし、今はこれらすべてがなくなった。アフリカに残っている唯一の支局はナイロビで、ストリンガーに支払う資金もほとんどなく、アフリカで起きている多くのことを見逃している」

ヨハネスブルグのウィットウォーターズランド大学メディア研究学科のグレンダ・ダニエルズ教授は大紀元に「中国共産党(中共)支配下のメディアとそのアフリカの代理人からの情報が、アフリカ大陸の15億人のうち4分の1に定期的に届けられている」と述べた。

例えば、新華社はケニアのネーション・メディア・グループとコンテンツ共有契約を結び、東アフリカと中央アフリカの4か国にある8つのラジオおよびテレビ局を利用している。その報道は毎月1130万人に届けられている。

ナントゥリヤ氏の2020年の議会証言によると、この契約により、新華社は2800万人のソーシャルメディアフォロワーと、日刊新聞の流通量9万部にアクセスできるという。

VOAのアフリカ向けサービスは、週間視聴者数が7800万人に達している。

 

2016年1月28日、コートジボワールのアビジャンで、国際刑事裁判所で行われた元コートジボワール大統領ローラン・バグボの裁判の生中継を観る人々(Sia Kambou/AFP via Getty Images)

中国国際放送局は、ハラレ(南アフリカ)、ラゴス(西アフリカ)、カイロ(北アフリカ)の地域事務所から、少なくとも9つのアフリカ言語で放送している。2018年、中共の宣伝部は中国国際放送と中国国家ラジオを合併し、「中国の声」を創設した。

ナントゥリャ氏によると、「中国の声」の1万4000人の従業員は「中共の理論、方向、原則、政策を宣伝し、良い中国の物語を語る」という任務に就いている。

ケープタウン大学メディア学科長のハーマン・ワッサーマン教授は、CGTNアフリカが大陸全体に約200人の、主にアフリカ人従業員を配置し、「中国について良いことだけを言うように」と指示されていると述べた。

同氏は、CGTNがブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ(BRICS)諸国(現在はイラン、エジプト、エチオピア、アラブ首長国連邦も含まれる)を報道していることを強調した。

ワッサーマン氏は「CGTNはBRICSがG7の実行可能なライバルであり、経済力を西側から奪っているという物語を強く推進している」と述べた。

CGTNや新華社の報道で、米国企業がいかに戦争から利益を得ているかを詳しく伝えているのを見たことがある。

           

   ——ケープタウン大学映画・メディア研究センター所長

         ハーマン・ワッサーマン教授

「過去には、彼らの報道は一般的に質が悪かったが、現在は高品質のグラフィックとビデオ、雄弁なプレゼンターによって提供される素材の質が、BBCやCNNのものに匹敵する。それがCGTNの報道を非常に信頼性があるように見せている」

しかし、「その外見は簡単に滑り落ちる」。中国のメディアがアフリカでロシア・ウクライナ戦争を報道する方法を詳しく見ると、「恥知らずに」プーチン大統領の侵攻が正当であり、「西側の拡張主義」を防ぐためのものであるという主張を押し進めている。

ワッサーマン氏は「私は、米国の企業が戦争から利益を得ていることを詳述するCGTNと新華社の報道を見たことがある。それはアメリカが戦争を続けているのは金儲けのためだと示唆している」と語った。

同氏は、中共の誤情報が「アフリカ全土に深刻な影響を与えている」と指摘し、2022年後半にジンバブエのZANU-PF政権への中共の支援を挙げた。

ワッサーマン氏は、ZANU-PF政府を倒す陰謀があると主張する中国共産党の偽情報が「政権がジャーナリストや活動家を投獄する口実を作った」と指摘した。

 

巨額の予算

ワッサーマン氏は、ジンバブエやアフリカ全体における中共のプロパガンダ、偽情報、誤情報に対して、米国は「ほとんど怒りの反撃をしていない」と述べた。

2022年12月の米アフリカ首脳会議(2014年以来の開催)で、バイデン大統領は2023~25年にかけてアフリカ大陸に550億ドル(約8兆6966億円)を投資すると約束した。

 

バイデン米大統領は、2022年12月15日にワシントンで開催された米国・アフリカ首脳会議の首脳らと記念撮影に参加した (Kevin Dietsch/Getty Images)

バイデン氏によると、この資金の一部は、「偽情報」に対抗し、「民主的な」アフリカのメディアを支援するために使用される予定だ。

ダニエルズ教授とワッサーマン教授2人とも、アフリカで米国政府が資金提供している大規模なメディアプロジェクトについては知らないと述べた。

ダニエルズ氏は「ビル・ゲイツ氏はオープン・ソサエティ財団のようなアメリカの寄付者と同じく、アフリカのいくつかのメディアグループに資金を提供しているが、アフリカで中国のプロパガンダに特化したメディアは知らない」と語った。

2023年3月、米国グローバルメディア局(USAGM)の最高経営責任者、アマンダ・ベネット氏は、同局のネットワークは「中国がターゲットとする地域でメディアパートナーを強化することで大きな成果を上げてきた」と述べた。

グローバルメディア局は、VOA、キューバ放送局、ラジオ・リバティ、ラジオ・フリー・ヨーロッパ、ラジオ・フリー・アジア、中東放送ネットワーク、オープン・テクノロジー基金の7つの国際放送ネットワークを監督している。

ベネット氏は、VOAの英語版ファクトチェックプロジェクト「ポリグラフ」がマンダリン語で「中国のデマに立ち向かい、虚偽を暴くビデオと記事を制作している」と強調した。

 

続く

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