移民問題の影響か 欧州議会選挙 右派勢力が増大 

2024/06/12
更新: 2024/06/12

5年ごとに行われる欧州議会選挙の結果が公表された。初期の集計結果によると、右派勢力が欧州議会の議席の20%以上を獲得し、左派の支持が大幅に減少したことから、将来の議案における右派の影響力が増す可能性が示唆されている。

今回の選挙で、EUの中道派は720席中の過半数を維持したものの、右派が20%以上の議席を確保したことで、欧州の民意の変化が明らかになった。

台湾の国防安全研究院の鍾志東博士は「今回の欧州議会選挙では、反グローバリゼーションを唱える右派の勢いが目立ち、ポピュリズム、反移民、国家主義的な思想とのつながりが深い」と述べている。

また台湾大学政治学部副教授 陳世民氏は「この動向は、2015~16年にかけて中東やシリアからの難民が欧州に大量に流入し、2015~18年にかけてヨーロッパで相次いだテロ攻撃が、移民問題が欧州社会に及ぼしている影響を反映している」述べた。

最近の欧州議会選挙で、イタリア、フランス、ドイツの投票結果は右派への傾向が顕著だった。イタリアではメローニ首相が率いる右派の「イタリアの同胞」が28.82%の得票率を獲得し圧勝。国内で最も多くの票を集めた。

一方、フランスではマクロン大統領率いる政党「再生」が23議席を失い、得票率は極右のルペン氏が率いる「国民連合」の31%に届かない結果に終わった。これらの選挙結果は、EU加盟国の現政権に対する支持度を測るものと言える。

陳世民氏は「選挙の結果は、特にフランスのマクロン大統領やドイツのショルツ首相にとって、個人的な信頼に大きな損害を与え、EUやヨーロッパにおける彼らのリーダーシップの権威と役割に影響を及ぼす可能性がある」と語る。

保守派がEU議会選挙で目立つ成果を上げたものの、陳世民氏は「極右派の議席数は増加したものの、全体的には約20%増にとどまっている。EU内の主要な政党グループである中道左派、中道右派、中道派は、依然として議会の主流を形成している。欧州議会の権限が限定的であることを踏まえると、選挙の結果がEUの将来の政策に大きな影響を与えるとは考えにくい」と語っており、EUの政策に対する影響はまだ限定的であるとの見方も存在する。

中道派が多数を占めているため、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長の再選が見込まれている。

鍾志東博士は「ロシアによる欧州への侵攻は明らかで、中国はロシアの戦争遂行を最も強く支える国となっている。証拠が続々と明らかになるにつれて、欧州では中国(共産党)の脅威への認識が徐々にはっきりしてきている。これは、経済貿易や科学技術の分野での規制が強化されている現状からも明らかだ」と述べた。

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