中国潜水艦が台湾海峡に現れる 軍事力移動通路を暴露か?

2024/06/20
更新: 2024/06/20

6月18日の早朝、中国海軍の094型戦略原子力潜水艦が、台湾海峡の水面を航行しているのを台湾の漁師が撮影した。この突如現れた姿が、台湾と国際社会に大きな波紋を呼び起こしている。

専門家は、この原子力潜水艦の出現は核威嚇を狙ったものか、あるいは米国や同盟国の軍事演習を避けるためのものかもしれないと分析している。同時に、この行動は中国の軍事力移動の通路をさらに暴露することになった。

台湾の自由時報の報道によれば、18日の午前5時頃、澎湖の漁師が台湾海峡の中間線付近で作業中に、大きな中国の潜水艦が水面に浮上しているのを目撃し、撮影した。その後、この潜水艦は中国の水上艦艇に伴われて離れていった。目撃者の記録によると、潜水艦の浮上位置は北緯24度00分、東経118度22分、台湾海峡中間線の西側で、水深45メートルの海域である。

軍事愛好家や専門家の分析によれば、この潜水艦は中国の094型核動力弾道ミサイル潜水艦である可能性が高い。

この出来事の翌日(19日)は、中国潜水艦部隊の創設70周年の記念日であり、米国を中心とする多国籍軍がフィリピン海で合同演習を行っている最中である。この中国潜水艦の浮上に関して、様々な解釈と推測が飛び交っている。

台湾の顧立雄・国防部長は18日の朝、立法院でこの出来事を確認し、台湾軍が関連の情報収集手段を利用して事態を把握していると述べたが、安全上の理由から詳細については言及を避けた。

 余宗基氏 中国の核威嚇

退役少将で前国防大学政治戦学院の余宗基院長は、大紀元のインタビューで、台湾海峡の平均水深は100メートル未満であるため、大型の潜水艦には適さないと指摘した。さらに、台湾は周辺の対潜探査能力が東南アジアでは日本に次いで高く、米国と同等のP-3C哨戒機を保有していると述べた。

余院長は、「台湾軍は中国の原子力潜水艦の音紋を把握していると言われているが、これは事実に基づいている」と述べた。余氏はまた、原子力潜水艦が浮上したのは機械的な故障ではなく、核威嚇の効果を狙ったものであると主張した。

「過去にも、中国は台湾に対する米国の重大な軍事的承諾や軍事戦略が明確になった際、浮上航行を行ってきた」と述べた。

陳世民氏 米軍演習を避けるため

台湾大学政治学系副教授の陳世民氏は、大紀元のインタビューで、この潜水艦は台湾東岸やフィリピン海で行われている米国と同盟国の軍事演習を避けるために台湾海峡を選んだ可能性が高いと述べた。

「潜水艦の音紋が米国や日本に掌握されることを懸念し、浅い台湾海峡で浮上することで、音紋が海面の波音や航行音により分散される可能性がある」と説明した。

また、技術的な問題で浮上した可能性については否定的であり、政治的な表明の可能性も低いと指摘した。

蘇紫雲氏 潜水艦の北上と軍力移動通路の暴露

台湾国防安全研究院の戦略資源所の蘇紫雲所長は、台湾海峡は中国の北海艦隊と南海艦隊の往来の通路であり、この潜水艦の浮上は軍力移動の通路を暴露したと述べた。

「中国は2019年以降、台湾海峡で4回の潜水艦浮上が目撃されており、今回の場所も過去の目撃場所と一致している」と指摘した。蘇紫雲氏は、今回の潜水艦の浮上は修理や周年行事のための可能性が高いと述べた。

「台湾海峡は公海であり、米国や各国の軍艦が自由に航行しているが、今回の潜水艦の浮上は沿岸に近く、直接の脅威とはならない」と付け加えた。

このように、中国の原子力潜水艦の浮上航行は、台湾への軍事的威嚇を強化するとともに、軍力移動の通路をさらに明らかにする結果となった。この行動は、緊張する台湾海峡情勢の中で、国際的な関心を引き起こしている。