このごろ、北部で高温や干ばつ、南部では深刻な洪水に見舞われ、これから夏に突入という中国で、「またしても」雪が降るはずもないのに雪が降った。
雲南省保山市で20日に撮影されたという動画のなかには、降り積もる雪が映っていた。
(夏に降る雪、雲南省保山市、2024年6月20日撮影)
しかし、この日の保山市の天気予報では「曇り」で、気温は18~25℃だった。20日に雨が降ったことを報じる中国メディアはどこもなかった。
先月19日も暑い夏日が続いた中国黒竜江省牡丹江市で大雪が降った。突然の雪に戸惑い、車内で雪の様子を撮影していた市民が着ていたのは「半袖」だった。
「六月飛霜(雪)」は検閲対象
「六月飛霜(雪)」という言葉を聞くと中国人であれば、誰でもすぐ脳裏に浮かぶ言葉、それは「冤罪」である。
中国では古来から「夏に降る雪は冤罪があり、亡霊の怨念や慷慨悲憤(こうがいひふん・社会の不義・不正や自らの運命などに憤りをおぼえ、嘆き悲しむこと)が神を動かしたから」といわれている。そのため、この異常気象を「神の怒り」や「不吉の前ぶれ」「天下大変の前兆」とする民間の言い伝えもある。
昔であれば、このようなめったに見られない現象が起きた時には、中国メディアも「夏の奇景」として浮かれた報道をしていたが、それが「常態」と化したいま、国民が動揺するのを恐れているのか、あまり報道されなくなった。
それに今となっては、中国は経済の破綻、失業者の爆発的増加、疫病の蔓延、異常気象による農業への打撃など、どれをとっても国の根本を揺るがす大問題を抱えている。
そうした切迫した状況に加え、自殺者の急増や無差別殺人など社会報復事件が頻発し、怨念が渦巻き、邪気があふれるなか、「冤罪」や「怨念」を想起させる「六月飛霜(雪)」が「検閲対象」となった。SNSに投稿された関連情報はたいていは封殺に遭っている。
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