中国 洪水に浸かった「水墨画の世界」

中国・桂林で30年に一度の大洪水 直接の原因は「ダム放流」か 

2024/06/22
更新: 2024/06/22

6月半ばから豪雨が続いた中国南部(広東省、広西省、福建省、浙江省、湖北省、雲南省、安徽省など)では鉄砲水や土砂崩れ、広範囲にわたる洪水が発生している。

水害により多くの村と連絡不能で、被災者は数百万単位と言われている。

南部の大洪水に関する死傷者数について、中国共産党当局は十数人が死亡、数十人が行方不明と公表している。だが、当局は災害が起きるたびに一貫して、被害情報の隠蔽を行っているため、今回の災害による実際の死傷者数や被害状況は、公式発表をはるかに上回る可能性がある。

 

(洪水に見舞われた中国広西省桂林市)

 

洪水に浸かる「景勝地・桂林」

「水墨画のような風景」が広がり、川下りの名所として知られる中国南部広西省・桂林市は19日、1998年以来の30年に一度の大洪水に見舞われた。

主要河川が警戒水位を3メートル超え、市街地は断水、停電、鉄道駅も病院も浸水した。記者が20日に桂林市に電話をかけてもつながらなかった。

水に浸かった鉄道駅(SNSより)

SNS上には、街中が冠水している様子や浸水した駅舎、病院、大人の胸のあたりまで来ている洪水の中で歩く市民など、水害の深刻さを訴える投稿であふれている。

中国メディア「大皖新聞」によると、桂林市にある病院(「南溪山医院」)は19日夜浸水し、20日もずっと水に浸かったままで、病院の通信は中断した。

別の中国メディア「大風新聞」によると、浸水した桂林の薬販売店の女性従業員が19日に店内で死亡した。死因は溺死ではなく、感電死だったという。

桂林市内の様子(SNSより)

いっぽう、この洪水については、「人為的に引き起こされたもの」であり、それも「下流の村民への避難通知もないまま、上流でダム放流が行われた」とする指摘がSNS上に多く寄せられている。

時事評論家の李林一氏は「雨がどんなに降り続いたからといって人が死亡する可能性は非常に小さい。今回これほど深刻な被害を引き起こしたのはダムの放流である」と指摘する。

「住民への避難通知は、放流30分前に発せられたというケースが多いと聞いている、これほど短時間内での避難は到底不可能だ」と李氏はいう。

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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