南部の国境を越えて米国に入国する人々の急増により、移民問題はますます注目される政治問題となっている。
研究によれば、より多くの人々を米国に受け入れることは、全体として経済に良い影響を与え、恩恵を受ける人がいるが一方で、特定の人はむしろ悪影響を受ける。また、誰が入国するか、どのようにして入国するかも重要である。規制が不十分な移民は、経済面からだけでは見えにくい問題を引き起こすと、一部の専門家は主張している。
移民に賛成だと認める人々でさえ、現在の全国的な地域社会で感じられている国境状況を踏まえて、その態度を見直している。昨年6月には、民主党支持者の40%が移民の増加を支持していたが、今年2月のAP/NORKの調査では、その数字は27%に下落した。
ピューリサーチセンターの調査によれば、共和党員や共和党支持者の大多数は、違法移民を「危機」または「重大な問題」と見なしている。また、ギャロップの調査によれば、彼らの大多数は全体的な移民を減らすことを望んでいる。
長期的には、移民が経済を促進することを示す研究が増えている。
ボストン大学の経済学者タレク・ハッサン教授が近々発表する論文では、米国の平均的な郡に1万2千人の移民が流入すると、5年以内に、その郡の原住民による一人当たりの特許申請件数が30%、原住民の平均賃金が5%増加すると推定している。賃金への影響は、その後数十年でおそらく2倍になり、その後徐々に薄れていくだろう。
ハッサン教授は大紀元に対して、この結果の背後にある力学を「2つの力の戦い」と説明できると述べた。
「移民が増えれば賃金は下がるはずだ。労働者が増えれば全員の賃金が下がるからだ。しかし、同時に経済成長は、多くの人々が集まってアイデアを考えることからも生じると信じている」
同氏は、論文は後者の効果が「勝る」ことを示していると述べた。理論上は、新しい移民の生産と消費によって経済が拡大し、その結果、より高給の仕事を支えることが可能になるという。
しかし、大紀元に提供された調査結果によれば、大部分の利益をもたらしているのは高学歴の移民だ。低学歴の移民は、革新や教育に悪影響を与えたが、その数値は統計的に有意ではなく、誤差範囲が大きすぎた。
ハッサン教授は、「確かに高学歴の移民はより多くのプラスの影響を持つ」と認めた。
ここで、合法移民と不法移民の区別が重要になる。全体として、移民の教育レベルは現地の人とほぼ同じであり(36%が学士号以上)、移民政策研究所の推定によると、違法移民の中でその割合はわずか18%である。
AP/NORKの3月の調査によれば、アメリカ人は合法移民よりも違法移民に対してはるかに懸念を抱いている。
ハッサン氏の論文は、高学歴のアメリカ人が移民流入から最も恩恵を受けることを結論づけている。大学教育を5年以上受けた人々の賃金は、4年の大学教育を受けた人々の賃金よりもはるかに上昇していた。学歴が低い人々の賃金はほとんど変わらなかった。高等学校の卒業証書を持たない人々の賃金はわずかに下落したが、これも統計的に有意ではなかった。
カリフォルニア大学デービス校の経済学者ジョバンニ・ペリ教授は、移民が現地労働者の賃金と雇用に与える影響を解明するために別の方法を使った。同氏の研究結果はハッサン氏の研究結果と一部矛盾しているようだ。
ペリ氏は、アレッサンドロ・カイウミ氏と共著した4月の論文で、移民によって、2000~19年の期間に、低学歴の現地労働者の賃金と雇用が多少引き上げられたが、高学歴の労働者にはほとんど影響を与えなかったと結論づけた。
新たな移民によって一部の人々(他の移民も同様)の賃金が下がったことは事実だが、それは高校以上の学歴を持つ人々に限られていた。
ペリ氏は、低学歴の移民はしばしば不法入国し、アルバイトとして働くか、庇護を求める。
ペリ氏は大紀元に「問題は、これらの人々の大多数が亡命を認められないことだ」と語った。
実際に、南部国境を越える人々はしばしば犯罪から逃れたり、より良い雇用を求めており、どちらも庇護の根拠にはならない。庇護は迫害を受ける人々に対して提供されるものである。
ペリ教授は調査結果に基づき、違法移民が通常に従事するレストラン、ホテル、農場、高齢者の助けなどの仕事に、低学歴の移民を合法的に入国させる道を開くことを提案した。
「そうすることで、彼らの状況をよりよく追跡し、把握することができるようになる。それはずっと秩序立ったものになるだろう」
ペリ氏の論文では、移民が現地の雇用に何らかの悪影響を及ぼすことは確認されたが、それは高校卒業未満の経験の浅い労働者に限られている。
ハッサン氏とペリ氏は両者とも、自分たちの研究は平均的な移民の影響に注目していると指摘した。ハッサン教授は「特定の時期、特定の場所で特定のグループの賃金が上がったり下がったりしたことを記録したミクロ経済研究が数多くある」と述べている。
同両氏の主張は、その影響を平均すると、移民が地方レベルでも経済に貢献するというものである。
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