紛糾するトランプ前大統領への緘口令 是非は公聴会に

2024/06/25
更新: 2024/06/25

米地裁判事アイリーン・キャノン氏は、6月24日にフロリダ州南地区のトランプ前大統領の釈放条件を修正する検察官の要請について公聴会を開く予定だ。トランプ氏は機密文書を不適切に扱ったとされる40件の罪で起訴されている。

検察側は、トランプ氏が「本件の捜査および起訴に携わる法執行官に重大で差し迫った、予見可能な危険を及ぼす発言をしてはならない」と明示するよう裁判官に求めている。

トランプ前大統領は昨年の初公判で無罪を主張した。別の判事が釈放の標準的な条件として、さまざまな出廷を義務付け、連邦、州、地方の法律に違反しないこと、さらに政府が開示した事案の証人と接触してはならないという条件を設定した。

もしトランプ氏が釈放条件に違反した場合、逮捕、拘留、保釈金の没収、さらには監禁や罰金などの法廷侮辱罪の制裁を受ける可能性がある

法執行機関

機密文書訴訟のかなりの部分は、機密情報を扱っているため、一般人に公開されていない。最近の数週間で、キャノン判事は敏感な情報を含まない文書の一部を解封や、特定の編集を加えた後に公開するよう命じた。

FBIがマール・ア・ラゴを家宅捜査する前に策定した執行計画の文書の一つには、「必要な場合にのみ致命的な武力を使用する」ことを許可する文言が含まれており、この抜粋が広まった。

トランプ氏は、5月21日に自身のTruth Socialで司法省が「FBIに致命的な武力を使用することを許可した」というニュースを見せられたと投稿した。

その後、電子メールでさらに強い言葉でこのメッセージを繰り返した。

「彼らは私に発砲する権限を持っている!」

しかしこれらの投稿や記事の中には、マール・ア・ラゴ急襲計画で使用された言葉が、「通常、警察やFBIなどの法執行機関が危険な状況に対処する際に標準的に用いられるものであり、特別にトランプ氏を対象に使用されたわけではなく、標準的なものだった」という文脈が欠けているものもあった。

5月22日、FBI報道官は大紀元への声明で、「FBIはすべての捜査令状に対して行うように、この捜査でも標準的なプロトコルに従い、致命的な武力の使用を制限する標準政策声明を含んでいる」と述べた。

トランプ前大統領がソーシャルメディア「Truth Social」に投稿した後、検察側は釈放条件の変更を要求し、事実上の緘口令を求めた。

検察側は、トランプ氏の発言が捜査官に「脅迫、暴力、嫌がらせのリスク」をもたらすと主張した。検察側は、トランプ前大統領が急襲に関与する特定の捜査官に関する情報を意図的に誤導し、FBIが訂正声明を出した後でもその情報が続いていると指摘した。

検察側は、裁判で一部のFBI捜査官を証人として召喚する予定であり、トランプ氏が「この事件に関与するFBI捜査官を無責任に標的にしている」と主張し、2022年にトランプ支持者がオハイオ州のFBIオフィスを攻撃しようとした事例を引き合いに出した。

検察側は、「(裁判所)は直ちに行動を起こし、この危険な法執行機関への誹謗中傷活動を止めるべきだ」と主張している。

これはトランプ前大統領に対する4度目の緘口令の要求である。これらの要求はすべて部分的に、トランプ氏が広範な影響力を持ち、その支持者の一部がトランプ氏が指名した人物に対して不利な行動を取る傾向があるという前提に基づいている。

最高裁判所は、第一修正案に関する問題について、発言が即座に違法行動を呼びかけない限り、第三者がその発言に応じて行動したとしても、発言者は第三者の行動に対して責任を負わないという判決を下しているが、複数の司法管轄区の判事はトランプ前大統領に対する緘口令を支持している。

トランプ氏の弁護士は、「検察官がトランプ氏の発言が公正な訴訟手続きにどのように損害を与えたかを証明できなかった」と主張しているが、判事たちは同意していない。

高い法律のハードル

先制的な発言禁止命令は、判事の裁量に委ねられるが、通常は非常に高いハードルを満たす必要がある。

弁護団は、検察側は「トランプ氏の発言が公正な裁判をいかに損なうのかを証明できなかった」と主張したが、裁判官らはこれに同意しなかった。

6月14日の弁護側の回答概要にこのように書かれている。

「検察官が最新のTruth Sociaの投稿を引用してから約3週間が経過したが、彼らはトランプ大統領の発言が脅迫や嫌がらせを引き起こした証拠を裁判所に提出していない。家宅捜査に関与したFBI捜査官のうち、トランプ前大統領の発言によって自分たちが危険にさらされたと主張する宣誓供述書や論拠を提出した者は一人もいなかった」

トランプ前大統領の最近の発言が法執行機関に対する嫌がらせ、脅迫、または威圧を引き起こした証拠がないため、弁護側は検察官が挙げたリスクが仮説に過ぎず、禁言令を支持する根拠にはならないと主張した。

弁護団はトランプ氏には政府やその機関が使用する方法を批判する権利があり、検察の反応が過剰だと述べた。

提案された緘口令は広範であり、検察側が「トランプ氏が検察側と意見を異にする発言をした場合、討論会の場や選挙キャンペーン、ソーシャルメディア、さらにはトランプ氏の選挙スタッフによる通信も含めて、いつでもトランプ氏の逮捕と一時的な拘留を求めることができる」という。

判事は6月24日の午後のセッションでこれらの主張を聞た。午前中は特別検察官の任命が予算条項に違反しているかどうかに関する議論に充てられた。これは、特別検察官が違法に任命されたことを理由に起訴を取り下げるよう求めた弁護側の申し立てに関する先週の公聴会の続きである。

ニューヨークを拠点とするエポックタイムズ記者。