米最高裁、トランプ前大統領の公務に関する免責を認める

2024/07/02
更新: 2024/07/03

アメリカ合衆国最高裁判所(以後、最高裁)は7月1日、トランプ前大統領が大統領在任時に行った公務に関連する行為について、起訴を免除するとの判断を下した。しかし、私的な行為については起訴される可能性が残る。この判決は、大統領の起訴免除権を認めるという意味で歴史的である。

ジョン・ロバーツ最高裁長官が記した判決文によると、最高裁の判事たちは6対3の票差で、下級裁判所の決定を覆した。下級裁判所は、トランプ氏の刑事訴追に関する免責特権を認めなかったが、これは2020年の選挙でバイデン氏に敗れた後の行動に関連する。

最高裁の保守派判事6人が多数意見を支持し、その中にはトランプ氏が指名した3人の判事も含まれる。一方、リベラル派の判事3人は異なる意見を示した。

最高裁判所の決定概要

ロバーツ最高裁長官は、アメリカの憲法が定める三権分立の原則と大統領の職務の性質を考慮すると、前任の大統領(トランプ第45代大統領)は在任中の公務に関して、ある程度の刑事訴追からの免責が与えられるべきであると述べた。

長官はさらに、「少なくとも大統領が憲法に基づく主要な権限を行使する際には、免責は絶対的でなければならない。その他の公務に関しても、免責の特権がある」と強調した。

ロバーツ最高裁長官は、トランプ前大統領に関する訴訟は、さらなる検討のために下級裁判所に戻されると述べた。

最高裁は、トランプ前大統領に対する告発の中で、4つの行為を検討した。それらは、2020年の選挙後に司法省の職員と行った議論、副大統領だったマイク・ペンス氏に圧力をかけてバイデン氏の勝利を認めさせないようにしようとした疑い、偽の親トランプの選挙人を集めたことに関与した疑い。そして2021年1月6日の米議会議事堂への攻撃に関連する行動についてである。

最高裁は、トランプ前大統領が司法省の職員との対話において絶対的な免責特権を持っていたと判断するが、残りの3つの行為については免責特権があるかどうかを判断するために、訴訟を下級裁判所に戻すと述べた。

この裁定は、アメリカ合衆国の歴史において最高裁が初めて、元大統領も例外なく刑事訴追を免れることはできると明言したことを示す。

この決定は、トランプ前大統領が一審の免責特権に関する裁判所の判断に不服を申し立て、控訴した結果である。

保守派とリベラル派の意見の対立

リベラル派のソニア・ソトマイヨール最高裁判事は、多数意見に対して反論を行い、「多数意見は、我々の憲法と政府運営の基本原則である、すべての人が法の前に平等であるという理念を軽んじている」と非難した。

さらにソトマイヨール氏は、「裁判所が採用した見解は、『大統領は断固として、迷うことなく行動すべきである』という誤った前提に基づいており、それがトランプ前大統領に望んでいた免責特権を与え、さらにそれを超えるものを与えてしまった」と指摘した。

一方、トランプ前大統領は、大統領在任時に行った行為によって後に訴追されるべきではないと主張した。その一方で、ジャック・スミス特別検察官は「法の上に立つ者はいない」という原則を引用し、大統領も起訴から免除されるべきではないと主張した。

4月25日に開かれた裁判での討議において、トランプ氏の法律顧問は、大統領が任期中に果たした公務に関しては、刑事訴追から免除されるべきであると主張し、「絶対免責権」を最高裁判所に認めるよう求めた。

トランプ氏の弁護団は、この免責権が存在しなければ、将来的に大統領が訴追されるリスクがあり、政治的な敵からの脅迫や不法な攻撃を受ける恐れがあると訴えた。

審議中、最高裁判事は、大統領が核の機密情報を売却したり、賄賂を受け取ったり、クーデターや政治的暗殺を命じたりした場合の極端な事例について質問した。

トランプ氏の弁護士は、これらの行為が公務として扱われる場合には、大統領は下院で弾劾され、上院で有罪が確定するまで起訴されるべきではないと反論し、そのような事態はアメリカ史上まだ起こっていないと述べた。

特別検察官の代理人は、最高裁に対して、トランプ氏が求める「絶対免責権」が認められた場合、前大統領は賄賂受領、反逆、反乱扇動、殺人、そして今件の争点である選挙結果の無効化や権力の不当な保持について、刑事責任を免れることになると警告した。

秋生
中国語大紀元の記者
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