中国共産党(中共)の統治下で、中国は内外の圧力に直面している。この圧力はすべての中国市民にとって悲劇的な現実である。彼らは中共政権を選んだわけではないが、「人民の名義」の下で、他国を脅かし、国民生活を管理し、「習近平思想」で言論の自由を抑圧する体制の中で生きることを強いられている。この状況は一部の専門家によって「ストックホルム症候群」と形容され、人質や被害者が、自分を脅迫または虐待している人に対して、敵意ではなく、なぜか共感や愛情を抱いてしまう心理的現象に例えられる。
中国の伝統文化の根幹は儒教、仏教、道教であり、その基盤には神への信仰がある。これにより、国家の上から下までの価値観と道徳規範が定められている。しかし、中共のイデオロギーは、中華民族の伝統文化とは相容れないものであり、伝統文化の土壌では中共は生存できない。したがって、中共は伝統文化を組織的かつ計画的に、そして体系的に破壊してきた。
過去70年間、中国人民はメディア、インターネット、教育を通じて中共のプロパガンダを受け続けてきた。中国の道徳を破壊し、社会の安定と平和の基盤を壊すことによって、中共は、中華民族の上に存在し続けることができるのである。その結果、中国人は「真実の中国」を認識する能力を徐々に失い、中共が推進する「中国夢」がその代わりとなった。この変化により、中国人は民族の根幹を失い、中共からの歪んだ愛国主義と無尽の憎悪が生まれた。
「小粉紅(不安定な民族主義者)」の出現は、こうした党国主義の必然的な産物であり、社会全体の異常な状態を反映している。
長年にわたり、中共は反米・反日情緒を煽り、情報をコントロールしながら、その政治経済体制と最高指導者の権力を維持してきた。
しかし、この影響により、中国国内では反米、反日攻撃事件が頻発するようになった。最近、米大学の講師4人が中国の公園で刺され、蘇州市では日本人の親子が刃物で襲われる事件が発生した。これらの事件が、中共が推し進めている「外国人に対する敵意」のプロパガンダと密接に関連している。このような状況は、西側諸国との経済的なデカップリングを加速させ、悪循環を形成している。
この非合理的な行動も独裁統治の一部であり、中共高官たちは阿諛追従(あゆついしょう・相手のご機嫌をとり、気に入られるために媚こびへつらい、従うこと)に慣れ、最高指導者に真実を報告するのではなく、彼が聞きたい嘘に調子を合わせる。こうした盲目と非合理性は、中国が一方では米国との接触を望み、他方では制限を加え、さらには世界的な災害を引き起こす可能性のある行動を取る結果を招いている。
習近平は外交において、「戦狼外交」(狼のように戦う外交)と揶揄される「大国外交」政策を採用している。国内では、求心力を求めるために「中国夢」を提唱し、中共だけが中華民族の復興を実現できると国民に訴えている。「新時代の中国の若者は、党の言うことを聞き、党に従うべきだ」とされ、中国と中共を一体化させている。
習近平のこの「大国外交」(対外)と「中国夢」(対内)は、国内外の政策の「統一と和諧(わかい・ やわらぎととのうこと)」を実現し、内政を安定させ、強硬な外交手段で国内のナショナリズム感情に応えることを試みている。中国市民はこうした非合理かつ自滅的な政策に従わざるを得ず、民主主義国家との関係が悪化し、北朝鮮のような貧困状態に陥り、核戦争のリスクに直面している。
世界が戦争の危機に直面する中、国際企業は徐々に中国から撤退し、サプライチェーンが断裂し、中国国内の雇用機会が急激に消失している。それにもかかわらず、中国市民は潜在的な巨大な危険に気づいていないように見える。彼らはただヴェールを取り除き、ウクライナやガザの状況を見れば、自分たちが直面するかもしれないより悪い状況を理解できる。
一部の目覚めた中国市民はすでに逃亡を始めており、国際企業は中国への大規模な投資を停止し、サプライチェーンの断裂は中国の雇用機会の深刻な損失を引き起こしている。
現在、京東、テンセント、アリババなどの大企業でさえ、社員の仕事の圧力が増し、勤務時間が延長され、時には徹夜で働くことが求められている。企業内での中共の思想宣伝も強化されており、至る所で愛国主義的な憎悪のプロパガンダが広がり、中国にいる外国人も厳しい状況に直面している。
台湾の新任総統、頼清徳氏は勇敢に「民主主義は罪ではなく、専制こそが真の悪である」と述べたが、北京は彼を「台湾独立分子」として死刑に処すると脅している。戦争、制裁、貧困、苦難――これが中共の政策が中国人民にもたらす唯一の結果なのだろうか? 絶対にそうであるべきではない。
世界中で反共感情が高まる中で、我々は中共抑圧の最大の被害者が、中国人民自身であることを忘れてはならない。この状況を変えるためには、中国人民が立ち上がり、自らの解放を求める必要がある。真の変革は内部からしか生じない。洪水が来る前に手を差し伸べることができるのは、中国人民自身であり、他人を頼ることはできない。
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