社会問題 未来への恐れが生じて消費から貯蓄へ、

経済の低迷により、中国の若者たちが「リベンジ的貯金」

2024/07/03
更新: 2024/07/03

パンデミック終息後、世界各国で「リベンジ(報復)的消費」ブームが巻き起こり、今なおその余波が続いている。しかし、中国ではこれとは逆の現象が見られる。若者たちが「リベンジ的貯金」を始め、毎月高い貯蓄目標を設定するようになっている。

パンデミックが終息した後も、中国経済はなかなか回復せず、不動産市場の崩壊や若年層の失業率の上昇により、消費者の信頼は低迷したままである。この状況下で、中国の若者たちは、他国の同世代のように衝動的な消費に走るのではなく、狂ったように貯金を始めた。

過去2年間、中国のソーシャルメディアでは「貯金大作戦」「貯金チェックイン」「金を貯める」など、貯金に関連するハッシュタグが次々と作られている。米国全国放送会社の財経チャンネル(CNBC)は、中国の若者たちの間で「リベンジ的貯金」がトレンドになっていると報じた。

中国のソーシャルメディアでは、ユーザー名「小宅宅」という26歳の女性が、1か月の生活費を300元(約6675 円)以内に抑える方法を詳しく説明しており、彼女が毎日の食費を10元(約222 円)以下に抑える様子を示す多くの動画を共有している。

また、「貯金仲間」を探す人もいる。「仲間」とは、特定の分野で共通の興味を持つパートナーのことで、一緒に活動を行うことが最近の中国のソーシャルカルチャーの一つとなっている。

これらのユーザーたちはオンラインで貯金サークルを形成し、メンバーが目標を達成できるよう支援している。節約の手段としては、地域の食堂で食事をすることも含まれており、これらの食堂は通常、高齢者向けに設置されているため、価格が比較的安いのだ。

中国市場研究グループ(China Market Research Group)のマネージングディレクターであるショーン・ライン(Shaun Rein)氏はCNBCに対し、「中国の若者たちには、リベンジ的貯金の心理がある」と述べた。

彼は、中国の若者たちは自信を失っており、数年、場合によってはそれ以上の繁栄がなければ、安心して報復的消費に踏み切ることができないと考えている。

ライン氏は、「2010年代の若者たちは、稼ぎ以上にお金を使い、GucciのバッグやiPhoneなどの高級品を借金して購入していたが、今では中国の若者たちは貯金を重視するようになっている」と指摘した。

「逆消費」や「ケチ経済」も、中国の若者たちが財布のひもを締めている兆候である。前者は意識的に支出を減らすことを意味し、後者は買い物の際に積極的に割引や特典を探すことを指している。

中国の若者たちの間では、「特殊部隊旅行」というトレンドも出現しており、これは特種部隊のように「限界に挑戦する」旅行スタイルを意味し、最短時間で最大限の観光地を訪れ、最小限の費用で済ませることを目指しているのだ。

では、なぜ中国の若者たちはお金を使うことに慎重になっているのだろうか。

Gavekal Dragonomicsの中国研究副ディレクターであるクリストファー・ベダー(Christopher Beddor)氏はCNBCに対し、「若者たちは他の人々と同じように、経済状況が良くないと感じているのかもしれない」と述べている。中国人民銀行の最近の報告によれば、2024年第1四半期の家庭の人民元貯蓄額は前年同期比11.8%増加している。

同時に、労働市場の緊張が、若者たちの困難をさらに悪化させている。上海ニューヨーク大学の助教授である繆佳(Jia Miao)氏も、「人々が、お金を使わないというのは、現実の現象だ」と指摘した。

彼女は、「一部の若者にとっては、仕事が見つからない、あるいは収入を増やすことが難しいため、消費を減らすしかないのだ」と付け加えている。

パンデミック以降、中国本土の新卒生の就職率は低下し続けている。先月発表された「2024年大学生就業力調査報告」によれば、新卒のうち48%しか正式な採用通知を受け取っておらず、前年同期比で2.4ポイント減少した。

同時に、新卒の「スロー就業」や「フリーランス」の割合は、昨年の18.9%、13.2%からそれぞれ19.1%、13.7%に増加している。中共当局は「失業」という言葉を避け、「スロー就業」「軽就業」「フレキシブル就業」「自営業経済」などの言葉を使って現実を覆い隠している。

調査によれば、9割の卒業生が「良い仕事」にこだわらず、仕事を見つけることを優先にしている。また、三線都市以下の都市での契約率も上昇しており、契約全体の1/4を占めた。

陳霆
関連特集: 社会問題