元国防相2人の粛清が台湾侵攻と関係

2024/07/19
更新: 2024/07/19

先月末、中国共産党の李尚福・国防相兼国務委員と魏鳳和・元国防相が、党籍と軍籍を剥奪されたことが明らかになった。両者とも重大な規律・法律違反、収賄罪の疑いで起訴された。

ある中共(中国共産党)軍の元海軍司令官によれば、粛清対象となった本当の理由は、李尚福と魏鳳和が台湾との戦争を望んでいなかったからだという。彼によると、中共軍の兵士らは現在、軍事訓練よりも政治学習を強要され、暇つぶしにポーカーやバスケットボールに明け暮れているというのだ。

共産主義国ではよくある軍事粛清

エポックタイムズ編集長の郭君氏は、李尚福と魏鳳和に対する主な罪状は「党中央委員会と中央軍事委員会の信頼を裏切った」ことだと分析。

その上で、「この党中央委員会と中央軍事委員会は、実際には『習近平』を指している。実際、両者はかつて習近平が最も信頼する軍関係者だった」と述べた。

「共産主義政権は暴力の上に成り立っており、その権力は銃口から生まれる。その結果、権力闘争が激動するほど、軍内の粛清も激しさを増す。現在の共産党軍の粛清は、スターリン時代に匹敵するほど火花を散らしている」

戦争への嫌悪

2016年に米国に亡命した中国海軍司令部の姚誠(ヤオ・チェン)氏は、李尚福と魏鳳和が党と軍から追放されたのは、台湾との戦争を望まなかったからだと見方を示した。

「彼らが有罪判決を受けたのは、軍の腐敗だけが理由ではない。軍の腐敗は広範囲に及び、人事、財政、資源の管理に影響を及ぼしている。汚職で悪名高い兵站部では、目立った逮捕者は出ていない」と姚氏は言う。

姚氏は中共軍の情報筋から、核・ミサイルなどを運用する「ロケット軍」が特に戦争を恐れていると聞いたという。

「中共が台湾への攻撃に乗り出したとしても、中共の海軍と空軍は日米にはかなわない。米軍はまずロケット軍を標的にし、その機能停止を狙うだろう」と述べた。

「2年前、米国はロケット軍に関する255ページに及ぶ詳細な報告書を発表した。2019年の戦略的な議論と演習の後、台湾への攻撃は実施不可能との結論に達し、ロケット軍将兵の80~90%が反対した」

「李尚福と魏鳳和に対する容疑は政治的な問題を含んでおり、主に習近平の武力による台湾統一との整合性の欠如が指摘されている」

姚氏の情報筋によれば、習近平は2025〜27年の間、あるいはそれ以前に、武力による台湾統一のために戦争を仕掛ける可能性があるという。

「最近、中国共産党の海警局が金門島の沖合で台湾漁船を妨害し、拿捕した。事態は大きくエスカレートした」と姚氏は述べた。「この動きは、より大きな戦略の一部である。封鎖そのものは最終目的ではなく、徐々に包囲網を強化し、台湾を挑発するための戦術である」

「また、台湾から48海里(1海里=1.852キロメート)、24海里、そして最終的には12海里の海域に押し寄せている」

「中共は台湾が最初の一発を撃つのを待っている。従って、事態はますます切迫しており、台湾は高まる圧力に直面している」

姚氏は、習近平が戦争の準備をする必要があるため、軍におけるいわゆる反腐敗キャンペーンは終わりに近づいていると述べた。

「習近平は台湾攻撃の好機が来たと考えている。軍隊では服従は義務である。ひとたび戦争が始まれば、命令に従わなければ軍法上の厳罰に処される。多くの人が戦争を望んでいないにもかかわらず、現状では反対しても無駄だ。表面的には中央当局に従うが、心の底では恨みを抱いている」と姚氏は言う。

軍事訓練より肝要な政治学習

姚氏は情報筋によると、中共軍は兵士を洗脳して戦わせるため、厳格な政治勉強会を行っているという。

「かつては、軍事訓練と政治学習の比率は70対30で、70%が軍事訓練に、30%は政治学習に充てられていた。現在では、思想の統一と党中央委員会との連携に重点を置く政治学習が軍事訓練に大きく取って代わっている。政治文書が常に上層部から発行され、軍事訓練に時間を割くことはほとんどない」

軍の将校だった姚氏の友人によると、軍司令部の職員は今とてもリラックスしているが、政治部の将校は仕事に追われているという。軍事訓練が滞っているため、軍司令部の職員はポーカーやバスケットボールに明け暮れているというのだ。つまり、政治学習を重視し、党中央委員会の指令を厳格に実行する中央軍事委員会の姿勢を軍全体が熟知しており、主に政治的な問題に集中しているのだという。

エポックタイムズのシニアディレクターの石山氏は、中共軍でも同様の状況が何度か起きているという。

「彼らはしばしばこのような争いに巻き込まれる。政治と軍事訓練、どちらが重要なのか? 文革の時代、中共は羅瑞卿など多くの高級将官を取り締まった。紅衛兵が彼を逮捕しに行ったとき、彼らは彼が軍事訓練だけ重視し、政治を重視していないと主張した。彼はひどく殴られ、(自殺を図って)ビルから飛び降り、廃人になった」。

中共は軍事訓練よりも政治に重点を置いているものの、台湾侵攻への阻害要因にはなっていないというのである。

「文化大革命の間、政治的混乱にもかかわらず、中国共産党は『ダマンスキー(珍宝)島事件(中ソ国境紛争)』のような紛争を行った。中国共産党上層部の政治的意志が最も重要なのだ」と語った。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。