カナダ・トロントで空き物件急増、ローン金利高く売却殺到

2024/07/18
更新: 2024/07/18

[オタワ 17日 ロイター] – カナダで住宅ローン返済額が急増し、支払い不能になるのを恐れた所有者が慌てて売却する動きが広がっている。コンドミニアム市場で国内3分の2を占め、大都市圏の指標となるトロントでは、販売物件在庫が10年ぶりの高水準に達した。

売れ行き不振で空き物件が急増しており、今後数カ月間で値崩れが起きかねない情勢だ。カナダ最大の独立系住宅仲介業者ライト・アット・ホーム・リアルティのジョン・ルシンク社長は「買い手がいない」と悲鳴を上げる。トロントのコンドミニアムは年末までに10%値下がりする恐れがあるという。

物件を手放しているのは、5年前に記録的な低金利で住宅やアパートを購入し、収益性の高い賃貸物件を手に入れた住宅所有者と投資家たちだ。現在更新の時期を迎えようとしているが、足元の住宅ローン金利は5年前よりも随分と高い。カナダ銀行(中央銀行)は6月に約4年ぶりの利下げに転じたものの、依然として住宅所有者らを取り巻く環境は厳しい。

カナダでは、住宅ローンは通常25年間で、3年か5年ごとに更新される。米国では15年か30年の全期間、固定金利となっているのと対照的だ。住宅ローンを比較するウェブサイト「レートハブ」(ratehub.ca)での計算によると、現在のカナダの金利では5年前に物件を購入した場合の住宅ローン払いは2倍の金額になる。

来年、商業銀行が提供した住宅ローンのうち約3000億カナダドル(2193億3000万ドル)が更新期限を迎える。米国に拠点を置く不動産情報プロバイダーのエコノミストは「資金に余裕がなく、物件から手を引きたがっている投資家もいる」と話す。

トロント地域不動産協会によると、今年1―3月の販売物件数は前年同期比約25%増加したが、売上高はわずか5.3%増にとどまった。

カナダ銀行の次回の政策金利決定は来週24日の予定で、25ベーシスポイント(bp)追加利下げし4.50%にすると予想されている。しかし、エコノミストらは仮に100bp引き下げても、更新時期を迎える住宅ローン金利への影響は小さいと指摘している。

Reuters