先月18日、アメリカで2番目に規模が大きいとされる米カリフォルニア州のロサンゼルス統一学区(LAUSD)の理事会は、2025年春学期から学校内では携帯電話を使用禁止にすることを決議した。これは驚くことではない。2011年、学校規模で携帯電話の使用を禁止した。しかし、子供は子供なので、禁止にもかかわらず、しばしば無視した。
今では、子供たちの目はTikTokやその他のソーシャルメディアアプリに釘付けだ。
理事会の会議の様子はYouTube上で閲覧できたため、ソーシャルメディアを使って視聴する必要があったのは皮肉だ。携帯電話の使用禁止については、「生徒のメンタルヘルスと学習をサポートするために携帯電話のない学校生活を確保する」と題された議題で議論された。
統一学区のニック・メルボイン教育委員は、教師として「生徒たちが大人と同じように携帯電話に夢中になっていることにがく然とする」と述べた。
「授業時間中、学校でこっそり携帯電話をスクロールしている。 携帯電話を見ながら、ずっと下を向いて廊下を歩いている。AirPodsを装着しているため、生徒たちはお互いに話をすることもなく、昼食や休み時間に遊ぶこともない。 学業成績、精神的健康、身体的健康において、このような有害な影響がますます多くの研究によって明らかになりつつある」
最近、米政権で公衆衛生政策を統括するビベック・マーシー医務総監がニューヨーク・タイムズ紙に「SNSに警告ラベルを求める理由」と題するコラムを掲載し、ソーシャルメディアに警告ラベルをつけるよう求めていた。
勉学への障害
小児科医のカーラ・アンダーソン博士によれば、学生たちはすでに『新型コロナパンデミック後の学習障害』に苦しんでいるという。この状況はスマホ依存によって悪化している。
「これらのデバイスは、注意を最大限に取り込むように設計されている」
アンダーソン氏は、食料品店で並んでいるときや交通渋滞に巻き込まれたとき、「携帯電話を見ないのは死ぬほど辛い」ことと同様に、学生が授業を聞くときに携帯電話を見てしまうのだと述べている。
子供たちの脳は部分的にしか発達していないため、大人になるまでは、気分が良いことよりも自分自身にとってプラスになること(勉学など)を優先することは困難だと言う。
カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事も、学校での携帯電話の使用禁止を支持している。ニューサム氏は、「マーシー医務総監が述べたように、ソーシャルメディアが青少年の精神的健康を損なっている。私が2019年に署名した法案に基づき、私は立法府と協力して学校での日中のスマートフォンの使用を制限することを望んでいます。子供たちや10代の若者が学校にいるときは、スクリーンではなく、学習に集中すべき」と述べた。
ロサンゼルス統一学区にあるいくつかの学校では、携帯電話の使用を禁止している。ある学校では、「携帯電話は始業時に回収され、安全なロッカーに保管されます。 ロッカーは校長室にあります。 携帯電話は6時間目の終わり、つまり生徒が帰宅する前に、生徒に返却されるという。
マーヴィン ダイマリー高校では、日中、校内での携帯電話の使用は禁止され、没収された携帯電話は、月曜日、水曜日、木曜日、金曜日のみ保護者が受け取ることができる。
2022年、Applied Economic Analysis(応用経済分析)では、学校での携帯電話の使用を禁止したスペインの2地域で調査した結果をまとめた論文「学校での携帯電話禁止、スペインの地域レベルの政策からの証拠」を発表した。この論文によると、学校での携帯電話の使用を禁止したスペインの2地域を調査したところ、両地域の青少年のいじめが大幅に減少した。学習到達度調査「PISA(ピザ)」において、数学および理科の生徒の成績が向上したという。
2016年、雑誌『Labor Economics(労働経済学)』に掲載された論文では、 イギリスの4都市の学校を対象とした調査の結果、「スマホの禁止後、生徒の成績は、平均約0.07標準偏差分、向上したことがわかった。大幅に成績が向上したのは、成績下位者であった。 このことは、スマホの使用が一部の生徒に有害な影響を及ぼしており、携帯電話の使用を制限することが、教育格差を低コストで是正する政策になりうることを示唆している」と結論付けた。
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