社会問題 母親の狂気の理由は?

ショッピングモールで「迷子=誘拐、臓器収奪」子の母親が消火器を手に「貴金属店襲撃」

2024/07/26
更新: 2024/09/01

中国湖北省十堰市にあるショッピングモール十堰万達広場で19日、行方不明になった子供の母親が消火器を手に、貴金属店を襲撃する「事件」が起きた。店を襲う様子を撮影した動画はSNSで拡散された。今、中国では、なぜかこの母親の行動に多くの拍手喝采が寄せられている。

動画のなかには、消火器を高く持ち上げて、金貴属店のカウンターめがけて思いっきり振り下ろす女性の姿があった。店員や警備員に阻止されながらも、無我夢中で貴金属店を襲撃するこの女性の姿に多くのネットユーザーが涙をしたという。

女性がそうした理由は、「一緒にモールに連れてきた子供がいなくなった」からだ。

「なぜこの母親は子供がいなくなっただけで、そこまで焦り、狂うのか?」

「母親の行動をかきたてた恐怖はなにか?」など、SNS上では「その母親をそこまでさせた背後の原因」に関する議論が熱く交わされている。

関連投稿には、「時間が経てばたつほど、子供の体の部品(臓器のこと)が減っていくからだ」といったゾッとするコメントが多く寄せられており、「後先考えず、我が子を助けるために貴金属店を襲った機転の利いたやり方に、拍手喝采が寄せられている。

 

(消火器を手に「貴金属店襲撃」する女性、2024年7月19日、中国湖北省十堰市のショッピングモール)

 

失踪の子供、発見

ショッピングモールの職員によると、行方不明になった女性の子供は最終的に「見つかった」という。

子供を発見した経緯に関して、ネットで広く拡散されている一説によると、「母親による『貴金属店襲撃』により、セキュリティシステムが起動し、ショッピングモールの出入り口が封鎖され、大勢の警察がモールに乗り込んだ」

「大捜索が行われた結果、失踪の子供は(薬か何かを嗅がされて)昏睡状態でトイレで見つかった。しかも、発見時、子供の髪は剃られて見た目は全くの別人になっていた」という。

もしこの噂が事実ならば、その時の母親の機転の利いた「貴金属店襲撃」がなければ、この件はただの「迷子事件」として軽く扱われ、大勢の警察が捜査を行うこともなかっただろう。だから、時間が経てば経つほど、さらわれた子は人身売買業者、あるいは臓器狩り業者によって知らず知らずのうちにモール外へ連れ出され、永遠に見つからなかったかもしれない。

「暴力は良くない、しかし共産党支配下の中国では、人々はそれぞれの方法で身を守るしかないんだ」

近年、中国の子供を取り巻く環境は変化し、子どもたちが失踪する事件が跡を絶たず、後に変わり果てた子供の姿をみて嘆き悲しむ親の叫びがSNS上で拡散されている。中国の子を持つ親たちが感じている恐怖は日本人の想像を絶するものだ。

被害に遭った貴金属店は災難だったが、この件をめぐって母親を非難する声はほとんど上がっていない。

 

警察を呼びつける「裏の手」

この事件を自身のSNSにシェアした時事評論家の李沐陽氏は、エポックタイムズ・ジャパンの取材に対し、次のように評した。

「もし彼女が単純に『子供が行方不明になった』と届け出て警察に捜索を依頼していたら、その子供が発見される望みは極めて低いだろう」

「中国には数えきれないほど子供が失踪しているが、見つかった例は何人もいない。失踪した子供が見つからない理由は、警察が無関心だからだ。どの人身売買業者にも、それなりのバックがいる。その背後にある権力を怒らせたくないから、警察は無関心になる。なかには、人身売買業者の後ろ盾になっている警察すらある。しかもそのようなケースは珍しくない」

「そのような中国の現実を知っているからこそ、その母親は貴金属店襲撃の方法を使って、警察を現場に来させ、子供の救出のための時間稼ぎをした。もちろん、理由はどうであれ、貴金属店を破壊したのだから、後からそれなりの弁償を求められるだろう」

「中国で緊急事態の時に警察を呼びつけたいならば、実はもっと簡単な方法がある。それは大声で『打倒共産党』と叫ぶことだ。このスローガンを聞きつけた警察はウサギよりも早く現場に駆けつけてくれるだろう」

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!