死の螺旋に陥った中共、基準金利引き下げ、内需回復を模索=中国

2024/07/24
更新: 2024/07/24

中国共産党の三中全会に対する「期待以下」の評価の中で、中国中央人民銀行は事実上の基準金利引き下げを行った。これは、経済刺激に対する当局の意志を示すものだ。中国共産党(中共)に批判的な専門家は、連続する措置にもかかわらず、中国の家計所得が上昇しないという根本的な問題に対する解決策が欠けており、実質的な効果はないと予想する。

21日、中共の公式メディアである新華社通信は、18日に閉幕した三中全会の『決定』全文を公開した。22日には人民銀行が事実上の基準金利である「貸出基準金利(LPR)」を0.1%引き下げると発表した。

これにより、住宅ローン金利の基準である5年物と一般貸出金利の基準である1年物が、それぞれ3.85%と3.35%に引き下げられた。貸出基準金利の引き下げは、今年2月以来4か月ぶりである。

貸出基準金利の引き下げにより、市中に出回る資金が増え、経済刺激効果が期待される。三中全会の決定全文が公開された翌日の予想外の金利引き下げは、中共の経済刺激への強い意志を市場に示すための措置と解釈される。

中国東部の浙江省杭州市にある高級不動産開発地、天都城のエッフェル塔のレプリカ(奥)の前を横切る廃品回収業者(手前)。 高さ108メートルのエッフェル塔のレプリカは天都城の中心部にある   (Photo credit should read JOHANNES EISELE/AFP via Getty Images)

今回の三中全会決定では、停滞する内需の促進に関する措置として「税制改革」と「地方財政負担の軽減」が特に注目される。決定によると、中国共産党は現在、中央政府が100%徴収する消費税を地方政府に配分することにした。

また、付加価値税の控除・還付政策や共有税(中央政府と地方政府が分け合う税金)の分割比率も変更し、地方政府の取り分を増やすことにした。

消費税は付加価値税、法人税、個人所得税と並ぶ中国の四大税収の一つである。この税制改革について、一部の海外メディアは地方政府の財政難を解決するための中共の意志を示していると評価する。

しかし、現地の反応は微妙だ。中国の新聞『澎湃新聞』は、「広東省など主要消費地域にとってはかなりの収入になる」としながらも、贅沢品の生産が多い上海や貴州省には不利になる可能性があると指摘する。消費者が負担する税金が増えることで、逆に消費が縮小する恐れがある。

中国・北京のビジネス街中心部付近で、10月1日の国慶節前に完成する都市公園の建設現場で働く作業員 (Photo by Feng Li/Getty Images)

税制改革の限界

ラジオ・フリー・アジア(RFA)は、米スタンフォード大学中国経済・制度研究センターのシュー・チェンガン上級研究員の分析を引用し、今回の税制改革を「改革」と呼ぶには無理があると報じる。

シュー研究員は、中国の税制改革が基本的に2019年から求められていた内容を実現したものであり、今回の改革案は地方政府の財政難を緩和するための「調整」に過ぎないと述べる。

また、シュー研究員は、中共が「新しい品質の生産力」と内需促進を主張してきたが、今回の決定では経済成長を促進するための具体的な方策が不足していると指摘する。

「税制改革だけでは、中国の本質的な問題、すなわち国内総生産(GDP)に対する家計の可処分所得の比率が低いという問題を解決することはできない」とも述べる。

旧正月を前にした上海のスカイライン(Photo by Johannes EISELE / AFP) (Photo by JOHANNES EISELE/AFP via Getty Images)

中国のGDPに対する家計の可処分所得比率は40%前後であり、これは世界平均の60~70%よりも大幅に低い。シュー研究員は、「中国の所有権構造が原因」であり、中国ではすべての土地が国有であるため、土地の付加価値の大部分が政府の収入となっていると指摘する。

また、中国の上場企業の中で最も収益性が高い銀行産業をほとんど国有金融機関が占めており、この収益を中共がほぼすべて手にしていることも、中国で内需促進が進まない要因の一つであると分析する。

徐天睿
エポックタイムズ記者。日米中関係 、アジア情勢、中国政治に詳しい。大学では国際教養を専攻。中国古典文化と旅行が好き。世界の真実の姿を伝えます!
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