ベラルーシは、中国からロシアへの武器供給を支援し、ウクライナでの戦況を転換したとみられている。また、中国と北朝鮮はロシアという対米共闘の後ろ盾を得ており、「新しい悪の枢軸」と称される連携が形成されつつある。ベラルーシは、この「悪の枢軸」がヨーロッパを侵略するための重要な前哨基地となっている。複雑な軍事および経済取引を通じて、ロシア軍に重要な武器部品を提供し、中国製品がEUに入るための主要な通路となっている。この状況に対して、欧州各国は中露の拡張を阻止するための対策を講じ始めた。

中国共産党（中共）はロシアへの軍事援助を繰り返し否定しているが、西側諸国の調査によると、中国はハイテク部品の輸出を通じてロシア軍に間接的な支援を行っている。最近の記録では、中国企業がロシア軍の使用する武器部品を制裁対象のベラルーシ国防請負業者BelOMOに販売していることが示されている。

中露連携

『日経新聞』によると、ベラルーシ国外の反対派組織BelPolは、複数の業界ソースからベラルーシと中国企業間の取引契約、支払い記録、その他の情報を入手した。これらの記録は、2022年に欧米の制裁を受けたベラルーシ国防請負業者BelOMOに対し、中国企業がロシアの武器に使用される精密部品を供給し続けていたことを示している。

これらの部品は、レーザー誘導爆弾やミサイルなどの先端兵器システムに使用され、支払いは人民元で行われた。上海にあるロシア国営の銀行（VTB Bank）の支店も関与していた。

7月10日、アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は中共を「ロシアの防衛産業基盤の主要な貢献者」と非難した。また、6月のG7首脳会議の共同声明では、「ロシアの戦争機械を実質的に支援する中国（中共）や第三国の行動者に対して措置を講じる」と明記されている。

一方、ポーランドはベラルーシからの移民危機に対処する中で、ベラルーシが中国製品のEUへの主要ルートとしての重要性を発見した。ポーランドは外交手段として中国製品の欧州への重要な鉄道路線を切断すると脅かし、ベラルーシとの東部国境の移民危機を和らげようとしている。

6月末にポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領が北京を国賓訪問した際、違法移民問題をベラルーシ国境の貨物通過問題と結びつけた。その結果、ベラルーシからポーランドへの違法越境者数が大幅に減少した。

ベラルーシの独裁指導者アレクサンドル・ルカシェンコ氏は過去3年間、ポーランドとの400キロに及ぶ国境地帯で移民危機を引き起こそうとしてきた。今年5月、ポーランドの国境警備隊員が移民によって殺害され、緊張が高まり、ポーランド政府はこの地域に約25億ドル（約3800億円）を投じて強化することを約束した。

欧州各国の反撃

欧州各国は中露がベラルーシを通じて行う軍事および経済的浸透に対抗するため、一連の対策を講じ始めた。6月のG7首脳会議の共同声明では、「ロシアの戦争機械を実質的に支援する中国と第三国の行動者に対して措置を講じる」と明記されており、欧州はベラルーシでの中露の行動を厳しく監視し、より厳しい制裁措置を取ることを示唆している。

ポーランドは、安全検査と税関検査を遅らせることで、ベラルーシとの国境のマワシュビツェ（Małaszewicze）検査駅の鉄道通過ルートを事実上閉鎖し、中露がベラルーシを物流通路として利用することを阻止した。ポーランドのラドスワフ・シコルスキ外務大臣は、中国との交渉で貨物通過問題を活用し、ベラルーシからの違法越境者数を減らすことに成功したと述べた。

ワルシャワのシンクタンク「東方研究センター（Centre for Eastern Studies）」によると、中国からEUへの輸出のごく一部がベラルーシ経由であるが、紅海航運の危機や海上貿易への影響により、ユーラシア鉄道の接続が再び重要性を増している。欧州各国が核心的利益を脅かされた場合に「経済的代償を払う準備ができている」とき、北京は戦略を変更せざるを得なくなるという。

ベラルーシは中露と欧州の地政学的な駆け引きの中で重要な役割を果たしている。今後、国際情勢のさらなる進展に伴い、欧州はベラルーシにおける中露の行動を警戒し、より厳しい対抗措置を取り続けるだろう。