25日未明、中国甘粛省の省都・蘭州市が発生源不明の「刺激性異臭」に包まれた。多くの住民が頭痛やめまい、どうきなどの不快感を訴え、「何かの有毒ガス漏れでも発生したのか」と不安が広がった。
また、「当局の対応の遅さ」を非難する声も殺到した。
蘭州市で異臭が発生したのは25日の午前2時過ぎ。多くの現地住民はこの突然の異臭で目覚めた。なかには、事情を呑み込めないながらも、飛び上がってN95マスク(ウイルス防御効果最強の微粒子用マスク)を着用する人もいるほどだったという。
異臭については、「タイヤの焦げた臭いのようだ」と表現する人もいれば、「化学薬品から引き揚げた死体を、天日干しした時のような臭い」
「硫化水素に似た臭い」
「トイレの洗剤のような臭い」などという人もいる。
この異臭を嗅ぐと頭痛や動悸、めまい、吐き気、喉の不快感、鼻がおかしくなりくしゃみが止まらないなどの症状を訴える住民が続出した。臭いは、「マスクを着けていても臭う」ほど強烈だったようだ。なかには、家じゅうに充満した異臭のせいで「一晩中眠れなかった」という住民も少なくない。
「どこかの工場が密かに毒を排出しているのではないか」
「消防車が街中を走り回るサイレン音は絶えず、この街で何が起きたのか、不安でしょうがない」
住民の不安が高まるなか、25日「#蘭州異臭」のハッシュタグは中国SNSウェイボー(微博)のトレンド入りした。
現地当局は同日午後、「調査の結果、空気中の異臭は現地製鉄会社(榆中鋼鉄会社)の主要な設備で、鉄鉱石を熱処理して鉄を取り出すための高炉に点火した際に生じたガスが排出されたため」と公表し、この件はいま調査中だという。
だが、ネット上ではこの当局による公式発表を「不服」とする声も多く上がっている。
「高炉のガスが街中に充満するか?」
「なぜ過去に他の製鉄所から同じことが起こらなかったのか」
当局の発表は信ぴょう性が低いことは、いまや中国に生きる人であれば、誰もが経験上知っていることだ。結局、その正体は一体何なのかという謎を残したまま、異臭事件は「公式発表」をもってピリオドを打った。
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