消費者団体によれば、電気自動車(EV)は現在、従来の自動車よりも年間約100豪ドル(約1万200円)の節約が見込まれる。
オーストラリアエネルギー消費者協会のディレクター、ブライアン・スパック氏によると、EVは家庭や中小企業が再生可能エネルギーへの移行に参加し、その恩恵を受ける「最大のチャンス」となる可能性が高いと述べた。
同氏は現在、その利益は「比較的少なめ」だと認めているが、EVの価格が下がれば、節約効果は大きくなると指摘している。
コモンウェルス科学産業研究機構(CSIRO)の調査では、2030年までにはEVのドライバーが年間1400豪ドル(約14万円)以上を節約できるようになると予測されている。
さらに、EVは電力網の利用率を高め、電力の価格に下向きの圧力をかけることから、EVを所有していない家庭でも、現在年間約180豪ドル(約1万8千円)の節約があり、将来的には最大300豪ドル(約3万円)の節約が可能であるとされる。
スパック氏は「この結果は、カリフォルニア州での証拠と一致しており、何百万台ものEVが電力網の価格に下向きの圧力をかけ、他の電力網利用者に20億ドル以上の純利益を提供していることが実証されている」と述べた。
ただし、これらの利益を実現するためには、オーストラリアの消費者がアクセスでき、信頼性の高いEV充電インフラが必要だと指摘した。
一方、充電インフラへのアクセスが限られていることがオーストラリアにおけるEV普及の大きな障害になっている。
電力配給会社オースグリッドの幹部ティモシー・ジャラット氏も、特にニューサウスウェールズ州では、全ての消費者が自動車の充電場所を見つけることができない状況であると指摘している。
「ニューサウスウェールズ州の住民の30%は、賃貸住宅やアパート、あるいは私道のない家に住んでいるため、自宅での充電が困難だろう」
Endeavour Energyのゼネラルマネージャー、コリン・クリサフリ氏は、利用可能な充電設備の不足がEVの採用にとって不利であると述べ、充電スタンドの不足を解消するために、州政府と協力して既存の電柱や電力インフラネットワークに2万2500基の充電スタンドを設置したと報告している。
スパック氏はまた、公共のEV充電スタンドの最大の問題はメンテナンスであると指摘し、政府に充電インフラの信頼性の高い基準を確立するよう提案している。
同氏は、アメリカで経験されたように、充電スタンドの故障が頻繁に発生する問題を解決するためには、このような基準が必要であると強調している。
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