米環境保護庁 塩化ビニールおよび他4種のプラスチック化学物質の規制強化を提案

2024/07/28
更新: 2024/07/28

米国環境保護庁(EPA)は、塩化ビニールを含む5種類の化学物質について優先評価化学物質としての指定を提案した。塩化ビニールは、2023年にオハイオ州列車脱線事故で流出した有毒物質の一つである。

EPAは肝臓がん、脳がんや肺がんなどにつながるとされている塩化ビニールのほか、他にもアセトアルデヒド、アクリロニトリル、アニリン、MBOCAの4種を、以前から追加評価が必要とされる化学物質のリストから選定した。

2024年7月24日の声明によると、これらの化学物質はすべて、プラスチックや樹脂、その他の化学物質の製造・加工に用いられているという。1976年に制定された有害物質規制法に基づき、EPAは優先評価化学物質に対して、報告、記録管理、試験要件、その他の制限を含む厳格な規制を実施する権限を持っている。

EPAの化学物質安全汚染防止局のミハル・イラナ・フリードフ氏によると、新たな指定は地域社会の健康と環境保護を強化する可能性がある。

「癌との関連が指摘されており、プラスチックの製造に使用されているこれらの有害化学物質の安全性を調査することで、全米の地域社会における重要な公衆衛生と環境保護につながる。一般の人々がこれらの化学物質に関するデータにより早くアクセスできるだろう」と同氏は述べた。

プロセスの継続

EPAがこれらの物質を優先評価化学物質として指定する場合、次のステップとして、これらが人間の健康や環境に対して不合理なリスクをもたらすかどうかの評価が行われる。

EPAによれば、評価プロセスは約3年以内に完了する必要があり、リスクが確認された場合には「不合理なリスクを排除するための措置を講じる」という。

EPAの発表を受け、環境保護団体「ビヨンド・プラスチックス」「アースジャスティス」「トキシック・フリー・フューチャー」は、EPAが評価を行う際に考慮すべき点をまとめた報告書を発表した。

報告書の共同著者であるジェニー・ギトリッツ氏は、EPAに対して、塩化ビニールの影響を受けた地域を実際に訪問することを推奨している。

「EPAの規制プロセスの一環として、塩化ビニールの影響を受けたコミュニティを訪問し、その影響を直接確認することをお勧めする」と彼女は述べた。

「汚染された水や大気汚染によって健康が害された住民と話すべきだ。塩化ビニールが塩化ビニールの管から飲料水に浸出する問題も調査する必要がある。公衆衛生を守るための行動が求められている」と彼女は付け加えた。

2023年2月3日、アメリカ合衆国オハイオ州イーストパレスチナで、ノーフォーク・サザン鉄道の貨物車両約50両が脱線する大事故が発生した。この事故により、110万ポンド(約49万8千951キログラム)の塩化ビニールが流出した。さらに、数日後当局は爆発を防ぐため、塩化ビニールなどの危険なガスを抜いて燃焼させる「制御燃焼」を実施した。その結果、火球と化学物質で充満した黒煙が数キロ先まで見渡せるほど発生した。地元住民は、その煙が土地や水源に毒を落とし、1年経った今でもその影響を感じ続けていると報告している。